第101回全国高校サッカー選手権第4日は2日、浦和駒場スタジアムなどで3回戦8試合が行われ、埼玉代表で2大会ぶり5度目出場の昌平が、全国高校総体王者の前橋育英(群馬)に1―2で逆転負けした。
昌平は前半3分、上野の抜け出しに相手GKがクリアし、こぼれ球を拾った荒井が約30㍍のロングシュートを決めて先制。だが、前橋育英の質の高い攻撃で守りの時間が続くと、同13分にゴール中央でパスをつながれて同点とされた。
後半も相手の素早い展開力に苦戦し、同10分に右サイドを崩されて勝ち越し点を許した。その後、前線を起点に反撃を図るものの、粘り強く守られてゴールネットを揺らすことはできなかった。
昌平―前橋育英 逆転負けを喫し、肩を落とす荒井(左から2人目)ら昌平イレブン=2日、浦和駒場スタジアム
堅守崩せず惜敗
昌平はシュート計3本と、前橋育英の素早いプレッシングとコンビネーション攻撃に苦戦して逆転負けした。
前半3分、上野の抜け出しに相手GKが反応し、こぼれ球を回収した荒井のロングシュートで先制した。だが、同13分にゴール中央を突破されて失点。後半も守備の時間が続くと、同10分にサイドを崩されて勝ち越された。
王者の強度に苦戦
これが日本一を知るチームとの違いなのか。昌平は、全国高校総体王者の前橋育英に逆転負け。藤島監督は「局面を打開する力、粘り強さなど足りないものを見させられた」と悔やんだ。
1万5千人超の観衆が集まった今大会優勝候補同士の一戦は、早々に試合が動いた。前半3分、ペナルティーエリア外に飛び出した相手GKのクリアから、荒井が約30㍍のロングシュートを蹴り込んで先制。だが、前半のシュートはこの1本のみ。
相手のプレッシングの早さに対応できず、ボールを保持してもすぐに奪われる状況に。ボランチの長(おさ)は「何もできなくて、自分たちの中盤が勝てなかった」。守りの時間が続く中、同13分に中央突破を許し同点とされ、後半10分には右サイドを崩されて2点目を奪われた。何とか試合を振り出しに戻そうと、同点を狙いに後半30分には、2回戦で決勝弾の伊藤を入れて2トップで攻めるが、最後まで相手の強度は落ちなかった。
試合終了の笛が鳴ると選手たちの目から涙がこぼれた。主将の津久井は「ここまでこられたのは、後輩のおかげ。励ますだけでは力にならない」。ロッカールームで後輩たちにねぎらいではなく、厳しい言葉を贈ったという。
その思いを託された2年生の長は「この悔しさをもうしたくない、させたくない。絶対日本一をとる」と涙を拭いた。この経験を糧に進化した昌平が選手権に戻ってくることを期待したい。
昌平―前橋育英 前半3分、昌平の荒井が先制ゴールを決める
荒井 隙逃さず先制弾
前半3分、相手GKが飛び出した隙を逃さず、無人のゴールにロングシュートを見舞った昌平の荒井。相手の鋭いプレスと徹底マークに苦しめられ、「勝たないと意味がない。チームを勝たせられる存在になりたい」と目を赤くした。
1年時から全国区で注目され、昨年2月に早々とJ1のFC東京への加入が内定。下部組織のFC LAVIDAで監督を務める村松コーチへの感謝を口にし、「プロの世界で活躍して恩返しできれば」と共に歩んだ6年間を振り返った。
決定機を逃し、試合終了後に泣き崩れた2年生小田を励ます姿も印象的だった。「ここで学んだことや悔しさを生かしてほしい。来季はプレミアもあるので、結果を残してプロになれと声をかけた」と期待の後輩にさらなる発奮を求めた。
主将魂最後まで
守備の要 津久井
昌平の主将である津久井は、守備の要として80分間戦い続けた。全国高校総体準々決勝で右足首脱臼と靭帯(じんたい)損傷を負った。「みんなには大丈夫と言っていたけど自分の中では苦しかった」。主将として、仲間の前では弱いところを見せず、復調途上ながら、選手権で2試合にフル出場を果たした。
卒業後はJ1・鹿島でプロ生活がスタートする。「日本一になれたらいい財産になったと思うけど、ここまでこられていい経験になった」と新たな一歩を踏み出す。
後半23分、ループシュートがゴール左に外れ、悔しがる昌平の小田。GK雨野
=埼玉新聞2023年1月3日付け1、7面掲載=
関連記事
サイト内の
昌平高校の基本情報は→こちら
カテゴリー
よく読まれている記事