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全国高校バスケ 結果

女子 埼玉栄は初戦敗退

楽しさ共有 悔いなし

聖和学園―埼玉栄 第4クオーター、埼玉栄の遠藤がシュートを決める

 

 1点差で迎えた最終局面。衣川、伊藤が立て続けに放ったシュートはリングを外れ、女子の埼玉栄は全国常連の聖和学園に惜敗。目(さっか)監督は「3年生はよくやった。最後まで攻め、悔いはない」と選手たちの奮闘をたたえた。
 序盤から先行し、一時は27―14とリードを奪ったが、「相手は後半に強い。いつもよりガード陣の視野が狭くなり、ターンオーバーが増えた」と指揮官。40得点した聖和学園のエース上野心を抑え込めず、第3クオーターに逆転を許した。
 一進一退の展開となってからも、「練習の成果を出せた。全員が輝けた試合」と話す矢野の3点シュートなどで食らいついた。ゴール下で奮闘した遠藤は「3年生が声で盛り上げた。1対1ではいい判断ができた」と試合を振り返った。
 「バスケットの理解力が高い」と指揮官が評価する3年生は個性派ぞろい。磨き上げた守備で主導権を握り、主将の衣川は「それぞれのいいプレーが出た。楽しい感覚を共有できた」と大粒の涙をこぼしながら、笑顔で仲間に感謝した。

 

光る冷静さでけん引
主将 衣川

第1クオーター、埼玉栄の衣川(中央)がシュートを放つ

 

 競った展開で冷静なプレーが光った埼玉栄の衣川。主将としてチームをけん引し、「このメンバーで一緒に戦えるのは最後になったけど、それぞれが次のステージで成長できれば」と、充実感をにじませながらチームへの思いを口にした。
 「コミュニケーションが苦手だった」と主将に就く前の自身を回想し、「やり遂げたい思いが強くなった」と責任感から盛り上げ役も苦にならなくなったという。後輩たちに向け、「お互いを信じて思い通りにプレーして」とエールを送った。

 

 

男子 正智深谷が初戦突破

見せた強豪の意地

  

正智深谷―九州学院 第2クオーター、正智深谷のグビノグン(10)がシュートを決める=東京体育館

 

 男子の正智深谷は苦しみながらも初戦を突破。全国の強豪が集うU18トップリーグに参戦した正智深谷は分析される材料も多く、成田監督は「初戦は研究される。この出来なら負けてもしょうがなかったが、意地を見せた」と汗を拭った。
 エースのルーニーは気負いからかシュート成功率が上がらず、序盤は相手が主導権を握った。潮目を変えたのは途中出場の長渕。持ち前の守備力で相手の攻撃を滞らせると、1年生グビノグンのバスケットカウントから連続得点が生まれた。
 さいたま七里中出身でナイジェリア人の両親を持つグビノグンは第4クオーターにも連続で2点シュートを決めるなど期待に応え、「緊張することなくプレーできた。チームの助けになることができた」と大舞台での活躍をかみしめた。
 指揮官は悪い流れの中で緊張の糸を切らさなかったことを収穫に挙げ、「負けパターンを経験してきょうがある」と成長を評価。高校総体王者・福岡第一への挑戦権が懸かる25日の美濃加茂(岐阜)戦も必勝を期して臨むつもりだ。

 

菊田 けが乗り越え19得点

第2クオーター、正智深谷の菊田(11)が突破を図る

 

 昨年のウインターカップ直前に左膝前十字靭帯(じんたい)を断裂し、今年9月に復帰した正智深谷の菊田がチーム最多の19得点。2年ぶりの大舞台で攻撃センスを発揮し、「リハビリ中も自分のオフェンスは誰にも止められないと声をかけてくれた」と仲間たちに感謝した。
 九州学院の多彩な守備に手を焼いた試合内容を振り返り、「シュートの調子はよかったが、こういう展開をしっかり反省して、余裕のある試合ができるようにしたい」と2回戦に向けて気合を入れ直していた。

 

正智深谷2回戦敗退
美濃加茂に77-87

正智深谷―美濃加茂 第4クオーター、正智深谷の田中(5)がシュートを放つ=東京体育館

 

志半ば逆転許す

 前半の10点リードを守れなかった男子の正智深谷は志半ばで敗退した。2人の留学生を擁する美濃加茂に対し、成田監督は「(留学生対策は)うまくいったと思うが、丁寧に行き過ぎた。もう少し積極的に行くべきだった」と肩を落とした。
 樋口と三村が留学生を抑え、「前半は気持ちよく取れた」と話すルーニーを中心にスコアを伸ばした。相手がゾーン守備をマンツーマンに変えると、「重いバスケをしてしまった」と指揮官。得点が止まり、第4クオーターに逆転を許した。
 田中と長渕の3点シュートなどで同点としたものの、一進一退の展開でスコアを伸ばしたのは美濃加茂だった。残り4分からの連続失点で67―76と水を開けられ、点差を取り戻そうと試みた前掛かりの守備も逆転には至らなかった。
 一昨年、昨年と2年連続で8強入りを果たし、表彰台に上がることを掲げた今季。「目標にしていたところは全然遠かった」とルーニー。成田監督は「勝ち試合だった。選手にかわいそうな思いをさせてしまった」と敗戦を悔やんだ。

 

チーム最多の34得点生きず
ルーニー

第2クオーター、正智深谷のルーニーがシュートを決める

 チーム最多の計34得点と気を吐いた正智深谷のルーニーだったが、「マークが来た瞬間に得点が伸びなくなった。ディフェンスの圧が強くなっても決め切るプレーヤーになりたい」と敗戦の責任を背負い、今後のさらなる成長を誓った。
 菊田の負傷離脱で点取り屋と司令塔を兼ねる時期もあり、仕事量の多さに思い悩んだこともあった。将来を嘱望される逸材は「ポイントガードをやったことで得点+アシストという自分の強みが生まれた」と正智深谷での3年間を総括した。

 

初舞台は涙で終幕

報徳学園―本庄東 第1クオーター、本庄東の木村(32)がシュートを放つ=大田区総合体育館

 

 試合終了を告げる笛が鳴ると、本庄東の選手たちの目からは涙があふれ出た。初出場の大舞台でチームは最後まで気を吐いたが、68―90と及ばず。木村監督は「全てにおいて相手が上手だった」と下を向いた。
 先制点を挙げたが、緊張から来るミスや反則が響き、流れをつかめなかった。後半に気を取り直し、貝崎の27得点などで必死に食らいついた。だが、3点シュート10本を含む32得点の報徳学園・小林を止められず、差は広がる一方だった。「爪痕を残そうと思ったが、勢いに乗り切れなかった」とチーム唯一の3年定方は肩を落とした。
 それでも、1、2年主体の若いチームにとって、全国で得た経験は大きい。主将の高橋は「来年必ずまたこの舞台に戻ってくる」と、敗戦を糧にすることを誓った。

 

感謝の言葉で集大成を飾る
3年・定方

 試合終了間際、主将の高橋に代わりコートに入ったのは定方。ほかの3年生が引退する中、一人チームに残り「頼りなかったと思うが、受け入れてくれた。1、2年生がいなかったらここに来られていない」と、感謝の言葉で集大成を飾った。
 ラスト7秒。チームは定方に打たせようと道を開ける。最後の3点シュートは惜しくも外れたが、応援席からは拍手が鳴りやまなかった。「必ず来年戻ってきてメインコートに立ってほしい」と後輩たちに夢を託し、会場を後にした。

 

=埼玉新聞2022年12月24日付け6面、25日付け9面、26日付け6面掲載=

 

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