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地方議員の仕事学ぶーいずみ高校

現職市議が主権者教育

 

 さいたま市中央区の県立いずみ高校で19日、東京・小金井市議の水谷多加子さん(55)が外部講師として招かれ、3年生の現代社会の授業で、地方議員の仕事を講義した。現職議員が高校で主権者教育をするのは珍しく、水谷さんも初めてだという。生徒たちは「市民の声を聞く大切さが分かった」と話し、政治や選挙への関心を高めていた。

地方議員の仕事について講義する小金井市議の水谷多加子さん(右奥)=19日午後、さいたま市中央区のいずみ高校

 

 水谷さんは2019年12月の補選で初当選、現在2期目で2人会派に所属している。授業では、地方議員の仕事として、市のルール(条例)、市が仕事をするためのお金(予算)を決めると説明。昨年6月には、学校のトイレで生理用品の無償提供を求める意見書の可決を実現した。大人ばかりでなく、子どもたちが陳情した実例を挙げ、政治の役割を分かりやすく伝えた。

 松本佳子さん(18)と鈴木千里さん(18)は、議員活動によって小金井市の学校で生理用品が配置されたことに驚いた。昨年から同校のトイレにも置かれており、2人は「ありがたいし、安心感が違う」と話す。2人とも18歳で選挙権を得た。「授業で議員の仕事を知ることができた。今後の投票に役立てたい」

 平須賀岳士さん(18)は昨年10月に誕生日を迎え、同月の衆院選で初めて投票を体験した。「自分の意見が国の政策に響くのかと思うと、一票の重みをすごく感じた」と振り返る。今回の授業で、「議員へのイメージががらりと変わった。市民の声をちゃんと聞くことの大切さが分かった」と感想を語った。

 水谷さんによると、訪れたドイツやスウェーデンの学校では、政治家が教育現場で討論したり、先生が自身の賛成する政策を授業で取り上げていたという。日本では学校も社会も政治を語ることをタブー視する傾向がある。水谷さんは「生活イコール政治なので、生活を良くしようと思ったら政治の話が出るのは当然。その辺の文化を変えていきたい」と話していた。

 華井裕隆教諭(46)は現代社会の授業で、安全保障やエネルギー政策、税金など争点になる問題を教えている。「政策を理解する力を育てられたとしても、政治に関心を持つことが大切。生徒たちが現職議員の話を直接聞くことで、投票に行ったり、社会を変えようと政治参加してくれればと思う」と期待していた。

 

=埼玉新聞2022年1月24日付け10面掲載=

 

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