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埼玉県公立高校入試問題 特徴と対策は?

2022年11月1日配信

 

 今後の学習を効率的に行っていくために、公立入試問題の特徴を整理しておきましょう。
 公立入試では基礎的・基本的問題が主に出題され、これに多少の応用問題が加わります。また、過去に出題されたことがあるか、またはそれに類似した問題が中心です。
 今回は教科書が変わり、「箱ひげ図」(数学)・「ダニエル電池」(理科)・「原形不定詞」(英語)など新たな範囲が加わった初年度の入試となった昨年度入試(令和4年度)を例としながら、各教科の出題傾向を見て行きます。勉強計画の参考にしてください。

 

全体の傾向
 まず全体の問題数です。※(選)は学校選択問題。

国語 大問5 小問25
数学 大問4 小問23
社会 大問6 小問31
理科 大問5 小問30
英語 大問5 小問31
数学(選)大問5 小問20
英語(選)大問4 小問31

 大問数は前年と同じでした。小問数も社会が1問増えた以外は前年と同じでした。令和5年度も大問数・小問数に大きな変化はないと予想されます。
 次に配点に占める記述問題の割合を見ておきます。記述問題には、用語・単語で答えるもの、文章で答えるもの、作図するものの3パターンがあります。カッコ内は前年(令和3年度)です。

国語 60%(61%)
数学 92%(92%)
社会 53%(54%)
理科 54%(69%)
英語 55%(54%)
数学(選)96%(96%)
英語(選)63%(63%)

 理科の記述割合が下がりましたが、それ以外は前年とほぼ同じです。記述問題はいわゆる「部分点」を与えられることが多いため、しっかりとした対策が必要です。
 次に教科ごとの特徴を見ていきましょう。

 

国語
(令和4年度全日制受検者平均点 62.9点)
論説文の読解が鍵
課題作文は条件をはずさない

 平均点は前年(68・7点)より下がりましたが、5教科の中では唯一60点台をキープしています。
 配点は大問1と大問3の長文読解が各26点、大問2の知識問題(漢字・文法など)が24点、大問4の古文が12点、大問5の作文が12点です。
 長文読解は大問1が小説、大問3が論説文です。大問1は比較的よくできていますが、大問3はあまりできが良くありません。通過率(正答率に近い考え方)で見ると、大問1は60%以上が5問中4問、大問3は5問中1問ですから、論説文(説明的文章)を苦手としている受験生が多いことが分かります。
 長文読解では全体の流れをしっかりつかみつつ、解答のキー(鍵)となる語句を見逃さない読み方が求められます。知識を増やせば点を取れるわけではないので、問題演習の量がモノを言います。苦手な人は早めに取り組んでください。
 古文では、「歴史的仮名遣い」を「現代仮名遣い」に直す問題が毎年出ています。
 作文は、与えられた条件に従って書くことが第一で、それさえできれば高得点が期待できます。

 

数学
(令和4年度全日制受検者平均点 48.0点)
幅広い知識と技能が求められる

 平均点は過去2年間、67・9点、62・2点と高得点が続きましたが、一気に50点以下まで下がりました。
 大問1は16問あり配点は65点です。前半は基本的な計算問題なので、ここまでは良くできていました。しかし、後半は数学全般の幅広い知識が求められており、正答率が50%に満たない問題も多く見られました。中には10%に満たない問題もありました。決して難問とは言えませんが、苦手単元がある人は苦戦を強いられたでしょう。
 3年度に出題範囲から除外された三平方の定理、標本調査、円周角の定理などが4年度は復活しました。これらについてやや準備不足だった人もいたようです。

 

社会
(令和4年度全日制受検者平均点 52.9点)

記述解答は要点を短くまとめる

 平均点は前年の62・6点から10点近く下がりました。
 3年度は公民の後半部分(経済や国際社会)が出題範囲から除外されましたが、4年度は全範囲から出題されました。
 通過率ワースト5を調べてみると、そのうち4問は歴史分野の問題でした。さらに、そのうち2問は、出来事などを年代の古い順並べ替える問題でした。歴史分野を苦手としている人が多いようです。年代の並べ替え問題は、単に歴史的な用語や人名などを記憶するだけでなく、歴史の流れや出来事の因果関係について正確に理解しておかなければなりません。
 大問ごとに必ず1題、「説明しなさい」、「理由を述べなさい」など文章で答える問題(記述問題)があります。全部で6問です。配点は他の問題より高く1問5点です。文章で答える問題は、長く書くだけでは点数はもらえません。要点を短くまとめる練習をしておきましょう。

 

理科
(令和4年度全日制受検者平均点 52.5点)
苦手分野・単元の克服は早めに

 平均点は前年(56・2)よりやや下がりました。
 大問1は各分野の基礎基本的問題8題で構成され、配点は24点です。大問2から大問5までは地学・生物・化学・物理の各分野からの出題で、それぞれ19点の配点です。
 大問1は4つの分野から幅広く出題されますが、大問2から大問5までは1分野1単元が重点的に出題されるのがこれまでのパターンです。どの単元が出るかは、過去問を研究することで、ある程度まで絞り込むことができます。例えば大問2の地学分野の場合、「気象とその変化」、「大地のつくりと変化」、「地球と宇宙」の各単元が順繰りに出題されています。
 苦手分野や苦手単元があると不利なので今のうちに克服しておきましょう。
 実験や観察を元にした出題が多いので、しっかりと教科書を見て復習しておきましょう。平均点からも分かるように手ごわい問題が多いので、早めに準備に取りかかってください。

 

英語
(令和4年度全日制受検者平均点 52.6点)

長文読解では基本的語いや文法知識の差が

 平均点は前年( 51・4)よりやや上がりました。
 大問1のリスニング問題は28点と高い配点になっています。4年度「学力検査問題」では、小問11問中4問が正答率50%以下でした。リスニング問題は近年やや難化傾向が見られるのでCDなどを使いネイティブの発音やスピードに慣れるなど対策に十分な時間をかける必要があるでしょう。
 長文読解問題では、基本的な語い力(単語)や文法知識の差が得点差となっていることも多いようです。
 リスニングで10分以上費やすので残り40分弱で長文や作文に取り組まなければなりません。時間配分を意識した練習をしておきましょう。

 

数学・学校選択問題
(令和4年度全日制受検者平均点 42.6点)

通過率10%未満の難問も

 平均点は前年(56・0)から大きく下がりました。
 大問1(43点)は基礎基本的な問題が中心ですが、(10)のように数学的表現を用いて説明する問題も出題されます。通過率が19・8%と低かったのは、このような形式の問題に慣れていないという理由もあるかもしれません。
 大問2から大問5までで小問が10問ありますが、このうち5問は通過率が10%以下でした。このようにほとんどの人ができなかった問題は合否への影響は少ないとも言えますが、最上位の学校を目指す人は攻略して欲しいものです。

 

英語・学校選択問題
(令和4年度全日制受検者平均点 58.3点)

時間配分を意識した練習を

 平均点は前年(61・6)より下がりました。
 通過率が90%を超える平易な問題がある一方、20%に満たない問題もあります。全体としては力の差が出やすい問題構成と難易度になっています。
 長文読解では、話の流れを把握しつつ、重要な部分をしっかり読み取る力が求められます。時間配分も難しいので数多くの問題演習をこなす必要があるでしょう。
 英作文では英文を読んだ上で条件に従って自分の考えを述べます。4年度は「調査のために図書館やコンピュータ等をどう利用するか」について考えを述べる問題でした。単語スペルの誤りなどで減点される人も多かったようです。

(教育ジャーナリスト 梅野弘之)

=2022年10月18日付け 令和5年度高校入試対策特集 ―秋冬号―より=

令和4年度入試の過去問題等は

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