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全国高校駅伝県予選 男子・埼玉栄6連覇 女子・昌平2年ぶりⅤ

 全国高校駅伝県予選(埼玉新聞社など後援)は1日、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場および周辺の特設コースで行われ、64校(1校失格、3校棄権)が参加した第73回の男子(7区間42・195㌔)は、埼玉栄が2時間6分15秒で6年連続41度目の優勝。花咲徳栄が2位、東農大三が3位に入った。
 第34回の女子(5区間21・0975㌔)は39校(1校失格、2校棄権)が出場し、昌平が1時間10分28秒で2年ぶり4度目の頂点に立った。2位に埼玉栄、3位に坂戸西が続いた。
 男女とも優勝校が全国高校駅伝(12月25日・京都)、上位6校が関東高校駅伝(11月19日・茨城)の出場権を獲得した。

 

男子で6年連続41度目の栄冠に輝いた埼玉栄アンカー吉田黎=1日、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場

 

 

 

女子で2年ぶり4度目の栄冠を手にした昌平のアンカー蛯名=1日、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場

 

埼玉栄 王者の快走

 男子評 2区でトップに立った埼玉栄が、2~7区で区間賞を獲得して、そのまま逃げ切った。
 埼玉栄は1区本間が4位でつなぐと、2区久保田が区間新を記録する快走で先頭に立った。3区松井も区間記録を更新する走りでリードを広げると、2位と3分49秒差でゴールテープを切った。
 花咲徳栄は粘り強さを見せて準優勝。東農大三が3位だった。

 

仲間の絆 逆境で発揮

男子 埼玉栄の2区久保田(左)から3区松井にたすきリレー

 

 これぞ王者の貫禄だ。男子の埼玉栄が、2位と3分49秒差をつける2時間6分15秒で大会6連覇。
 序盤こそは苦しんだものの、2、3区で連続区間新記録をたたき出すなど、安定した走りで全国高校駅伝へとたすきをつないだ。神山監督は「内容としては目標から離れたけど、(全国高校駅伝の)代表権を獲得できたのはよかった」と安堵(あんど)した。
 昨年4区で区間新記録の1区本間にアクシデントが起きた。5㌔付近で右脇腹に痛みを感じ、「きつくて、動けなかった」と先頭から4位に後退。苦しい展開となったが、仲間が助けた。10月中旬に右足首のけがから復帰した2区久保田が「どんな状況でも1位で渡す」と残り300㍍付近で1位の花咲徳栄を抜いて、トップでたすきをつなげた。3区松井が「自分の役目は後ろと差を広げること」と後続を突き放すと、以降は一人旅。4区佐藤、5区岸本、6区吉田蔵、7区吉田黎がいい流れをそのまま生かして快勝した。
 昨年の都大路は17位。経験者5人が残り、今年は優勝を狙う。主将の本間は「今年のメンバーは、優勝できるポテンシャルがある。残り1カ月半、最高の走りができるように準備した」と語り、吉田蔵は「区間賞をとる」と気合十分。12月25日、埼玉栄が活躍することに期待したい。

 

男子 優勝した埼玉栄の本間(右)ら1区のランナーが先頭争いを演じる

 

2位花咲徳栄 総合力生かせず

 5年ぶりの2位に入った男子の花咲徳栄だったが、高い総合力を生かすことができなかった。西又監督は「今年は力的には過去最高だった。もっと積極的に行かないといけなかった」と、トップとの3分49秒差を悔やんだ。
 1区榎本が1位と3秒差の3位まではプラン通りだった。誤算だったのは2、3区。2区石川は「後ろの(埼玉)栄とは10秒以上空いていて余裕を持ちすぎた」。500㍍手前から先頭を走ったが、トラック勝負の残り200㍍で埼玉栄の久保田に捉えられた。
 昨年も3区を走った佐々木の巻き返しに期待がかかったが、区間記録で走る先頭に大きく離された。「夏の走り込みが足りなかった」と佐々木。8月の全国高校総体前に右足を疲労骨折した影響で練習を制限。本番までにベストコンディションには戻らなかった。
 7区間中5区間で区間2位の力走を見せたが、王者に独走を許した。主将の西井戸は「2年生たちは全国で戦える選手たち。来年は栄に勝ってほしい」と、悲願達成を後輩たちに託した。

 

前見えぬ一人旅 駅伝の難度痛感
3位の東農大三

 打倒埼玉栄を掲げ臨んだ男子の東農大三は、涙の3位。2位の花咲徳栄にも1分26秒差をつけられ、前の見えない一人旅が続く駅伝の難しさを痛感した。川尻監督は「早い段階で計画が崩れ、3区以降は守りに入ってしまった」と下を向いた。
 先頭に食らいつき勝負を仕掛けたかったが、1区丹野は「坂で消耗してペースが上がった時に離された」と6位。3区松村が3位に浮上するも反撃はここまで。主将の松村は「1人でも走れる力をつけ、関東大会で挽回したい」と再起を誓った。

 

自分たちの走り初の関東へ導く
6位の早大本庄

 自分たちの走りを徹底した男子の早大本庄が6位を確保し、初の関東切符を手に入れた。チームを率いて7年目の矢野監督は「冒険することなく安定した走りができた」と、選手たちをたたえた。
 普段の練習メニューは選手たち自身で考え、強化ポイントを補ってきた。3区を務めた主将の山田は「関東ではタイムも意識していきたい」と、県予選とは正反対の走りで挑戦する。

 

 

昌平 歓喜の奪還

 女子評 安定した走りで全5区間の区間賞を獲得した昌平が、2位と1分15秒差をつけて快勝した。
 昌平は1区成瀬が10秒差をつけて1位でたすきをつなぐと、2区仲西、3区鈴木、4区後藤、5区蛯名がそれぞれ後続と差を広げて、一度も先頭を譲らなかった。
 連覇を狙った埼玉栄は、追い上げ及ばず2位。坂戸西は5区西村が快走して3位に入った。

 

高めたチーム力結実

女子 昌平の2区仲西(左)から3区鈴木にたすきが渡る

 

 昨年、悔し涙で終わった熊谷で、今年は光り輝く喜びの涙を流した。女子の昌平が、全5区間の区間賞を獲得して2年ぶりに優勝。長谷監督は「強い信念を持って、変わってくれたのが大きい」と満面の笑みを見せた。
 1年の1区成瀬が「後ろには頼れる先輩がいるからリラックスできた」と2位から残り1000㍍で先頭に立った。2区で主将の仲西が「80点の出来」と自身で評価する走りでつなげると、3区鈴木が「昨年は悔しかったから、今年はぶっちぎりでつなげる」と快走。1、2年時に度重なるけがで苦しんだ3年生の4区後藤が「やめそうになった時に支えてくれた仲間のために」とリードを守り、アンカー鈴木が「ラスト20㍍でうれしくなって自然に出た」と笑顔でゴールした。
 昨年は、序盤に出遅れて2位でゴールした。当時1区を走った仲西は「本当に申し訳なかった」と部屋や食卓の机に記録の紙を貼って、悔しさを忘れなかった。チームとしても長谷監督の下、コミュニケーションを重視。「走ることを楽しんでもらいたいし、集中力を高めるために環境を整えた」(長谷監督)と選手との会話を重ね、チーム力を高めたことが実を結んだ。
 2年ぶりに出場する全国の目標はベスト8。仲西は「悔いが残らない走りをしたい」と昌平の挑戦は、走り続ける。

 

2位埼玉栄 追う展開に焦り

女子 埼玉栄の1区田中(右)は折り返しの坂で昌平の成瀬に並ばれる

 

 2連覇を視野に入れていた女子の埼玉栄は、追うレースに焦りが生じ、波に乗れず2位。選手らの目からは大粒の涙が伝い、田村監督は「各区間じりじりと差を広げられ、苦しい展開になった」と天を仰いだ。
 昨年に続き1区を担った田中は「ずっと後ろにつけられ、イメージした走りができなかった」とラスト1㌔で昌平の成瀬に前を譲る形となった。
 3区椙山も「自分のリズムで走ろうとしたが、心のどこかで縮めないとという焦りが出た」と苦しい追走を振り返った。54秒差でたすきを受けた5区前田は、「諦めないで前を見て走った」と目から闘志を消さなかったが、この日全区間1位と好走した昌平を捉えることはできなかった。
 昨年、全国高校駅伝を経験したメンバーが4人残っていた。主将の4区根岸は「全国大会を目指す気持ちがどこよりも強かった。みんなを(全国に)連れて行けず悔しい」と受け止めきれない敗戦に涙した。唯一2年で選手入りした2区丹野は「この悔しい思いを来年にぶつけたい」と力を込めた。

 

残り1㌔で逆転 初の表彰台獲得
3位の坂戸西

 アンカー勝負を制した女子の坂戸西が初の3位表彰台を獲得した。4区保谷から6秒差の4位でたすきを受け取ったアンカーの西村は「残り2㌔で並んだが、余裕があったのでそのまま仕掛けた」。残り1㌔で本庄東を逆転すると、最後は22秒突き放した。
 1~3区の佐藤、沖田、水野の2年生トリオが上位陣にくらいつき、3年生の先輩たちが期待に応えて見せた。2区の沖田は「前に1秒でも近づけるように走った。負けたくなかった」と、目標の3位をチーム一丸でつかみ取った。

 

=埼玉新聞2022年11月2日付け1面、9面掲載=

 

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