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夏休み子どもサロン 中高生ら学習指導

支え合い地域に貢献

 川口市の朝日東公民館で、地元町会が「夏休み子どもサロン」を開催している。隣接する朝日東小学校の児童らを迎え、宿題などの勉強を教え、手作りの昼食を振る舞う。2017年夏から6年間、新型コロナウイルスが拡大した20年、21年の夏もサロンを閉じることはなかった。そして今年も開いた。

学習指導にはサロンのOBの中高生が多く参加している。感染防止の仕切り板は町工場の協力で19年に手作りした=川口市朝日東公民館

 

■「楽しい」
 サロンを訪ねた。
 勉強して食事を終えた5年生の土屋優乃さんは「いつもおいしいごはんを食べられてうれしい」。山室若菜さんは「分かりやすく教えてもらった」。柏木彩衣さんは「楽しかった」と満面の笑顔。
 この日、学習指導班には中学生14人、高校生6人。計20人の中高生が参加した。サロンOBが多い。
 同小の通学区内の十二月田中学校時代から調理班スタッフの県立草加南高校1年の田中雅さん(15)は「お世話になったのがありがたくて参加している」。東京成徳高校1年生の山下夏実さん(16)は「サロンは小6の夏の思い出。十二月田中2年生時代から学習指導に入った」と取り組みを支えている。
 同中3年の中沢衣南さん(15)は「おなかがすいて集中できない子が、どうしたら集中できるのか工夫します」。川口市立高3年の松下晴さん(17)は「教えた45分の間で小学生の成長が見えた。うれしかった」と充実した表情を浮かべた。

 

■学長

 サロンは7月26日から8月25日までの5週間、火曜(奇数学年)と木曜(偶数学年)に計10日間開く。今年の参加児童は125人(うち奇数学年43人、偶数77人)。
 迎えるスタッフは、調理と学習指導合わせて約70人。毎回約30人から40人が出る。学習指導は元中高教師や主婦が中心で現役もいる。
 学習指導班の代表が「学長」と呼ばれる片貝勝さん(70)。朝日東小の元校長で、「お世話になった地域への恩返しのつもり。地域や学校との関わりは絶やしたくない」と言う。
 今年は同小卒業生の中高生が増えた。片貝さんらのボランティア派遣要請に、川口市立高校や十二月田中学校が応えてくれた効果もあった。

 

■料理長

 正午から午後0時40分までが昼食。事前に子どもたちから注文を受けたメニューを調理班(毎回十数人)が前夜から準備する。
 調理班の代表は朝日6丁目南町会長で、「料理長」と呼ばれる吉川光男さん(69)。前夜からチャーシューを煮込み、早朝から公民館の調理室でチャーハンの大鍋を振るう。
 肺の持病のため、背中に酸素ボンベのリュックを背負い、パイプで酸素を吸いながらの仕事だが「難病でね。酸素ボンベとは長い付き合いになる。コロナにかからずに頑張りたい」と話す。
 主催は朝日東地区社会福祉協議会。会長の平柳清さん(69)は弥平4丁目町会長でサロンでは「総長」。その後ろにいるのが自称「小使いさん」の星隆夫さん(81)で、サロンでは一番偉い。星さんらが「地域の後継者に」と期待を寄せるのが、力を貸してくれる中高生たちだ。

 

=埼玉新聞2022年8月23日付け10面掲載=

 

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