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春季高校野球県大会 昌平が秋春連覇を達成

昌平 春季大会で初優勝を飾る
(最終日、4日・県営大宮)

 春季高校野球県大会最終日は4日、県営大宮球場で決勝を行い、昌平が6―2で浦和学院を下して初優勝を飾るとともに秋春制覇を達成した。
 昌平は一回に山根の右前タイムリーなどで2点を先制。三回には斎藤、桜井の2点二塁打で4点を奪い、浦和学院を突き放した。先発の佐藤立が6回1失点、2番手渡辺俊が3回被安打2、1失点と好投し、最少失点にとどめた。
 浦和学院は、先発伊藤と2番手渡辺が三回までに6点を失った。四回以降は渡辺が立ち直ったが、序盤の失点が重くのしかかった。打線は相手投手陣に手を焼き、2点を返すのが精いっぱいだった。
 昌平と浦和学院は関東大会(20~23、27、28日・神奈川)に出場。両校ともに2回戦から登場し、浦和学院は20日に専大松戸(千葉1位)と、昌平は21日に文星芸大付(栃木2位)と顔を合わせる。

 

昌平―浦和学院 春の県大会初優勝を決め、喜びを爆発させる昌平ナイン

 

 三回までに6点を先行した昌平が最後までリードを守り、6―2で浦和学院を下した。
 昌平は一回1死二、三塁から山根の右前適時打で先制。2―0の三回には斎藤の中越え2点二塁打、桜井の左越え2点二塁打で突き放した。投げては今大会初先発の2年生右腕佐藤立が6回1失点と好投し、七回から登板したエース渡辺俊も3回1失点で締めた。
 浦和学院先発の左腕伊藤は直球の制球が甘くなり、三回途中5失点で降板。一、三回の好機を生かせず後手に回った。

 

昌平 打順の入れ替え奏功

 

昌平―浦和学院 3回表昌平2死二、三塁、桜井が左翼線上へ2点二塁打を放つ。捕手篠塚

 

 秋の覇者はやっぱり強かった。昌平が投打で浦和学院をねじ伏せ、春では初となる王座を獲得。秋春制覇を達成した黒坂監督は「春の優勝旗を目標に掲げ、それがかなって大変うれしく思う」と晴れやかな表情を見せた。
 一回1死二、三塁から山根が右前に鋭く運ぶなどして2点を先制。三回には1番甲斐から、金子、斎藤の3連打で2点を追加し、桜井の2点二塁打でリードを6点に広げた。
 打線のつながりを重視し準決勝から打順が入れ替わった山根、斎藤、桜井の3人がいずれも適時打を放つ活躍。今大会初の4番に座った山根は「一気に走者を返せるように打った」と役割を果たした。終わってみれば12安打で畳みかけ、打線が本来の輝きを取り戻した。
 今大会打率6割超えの金子が毎日のように打撃指導するなどして、ミート力を上げた山根がスタメン入り。準決勝では今大会初先発出場の菅沼が2安打2打点を記録。試合ごとにヒーローが誕生し、チームは活力に満ちている。
 「今まで県制覇を目標にやってきたが、関東でも勝てるように切り替えていく」と黒坂監督。今回と同じく県覇者として臨んだ昨秋の関東大会は悔しい初戦敗退。再び挑む関東の舞台で初勝利をつかみ取り、夏に向けて上昇気流を描く。

 

佐藤立 6回1失点 制球安定、精神面も

 今大会初先発の2年生右腕佐藤立が6回1失点の好投で昌平を初優勝に導いた。右打者には内角を効果的に、左打者には外中心の配球でストライクを先行させた。三回2死三塁で3番浜野を迎えた場面は、直球勝負で空振り三振に仕留めた。
 走者を背負うと投げ急いでいた精神面の弱さを克服し、「ピンチで自分の投球ができた。今大会はバランスを意識してフォームを固定できた」。捕手のミットを意識し過ぎて課題となっていた制球も、縦のズレを許容することで安定した。
 最大の武器は身長184㌢、体重90㌔の体格から繰り出す最速142㌔の直球。黒坂監督も「春の段階であの直球を打ち返せる打者は少ない」と太鼓判を押す。成長著しい右腕は「分かっていても打たれないストレートを」と、さらなる進化を誓った。

 

浦和学院 全力も逆境越えず

 

1回表昌平1死二、三塁、山根に右前適時打を許した浦和学院の先発伊藤(右)に捕手篠塚が声をかける

 

 2021年春から7季連続で決勝に進出した浦和学院は昨秋に続き、またしても昌平に苦杯をなめさせられた。森監督は「全力をぶつけたけどはね返された」と悔しさをにじませた。
 投打で精彩を欠いた。準決勝からの連投となった先発のエース伊藤が「いい球はいっていたけど抑えられなかった」と不規則に落ちる決め球のチェンジアップを捉えられ3回途中で5失点。その後、渡辺が1失点に抑えて援護を待った。
 だが、昌平バッテリーの配球に裏をかかれ、得点は六回の2番月山のソロ本塁打と八回の犠飛による2点のみ。一回2死二、三塁で左飛に倒れた5番三井は「外の真っすぐと変化球の出し入れに苦戦した」。準決勝までの計4試合で41得点を奪ってきた打線に劣勢を挽回する力はなかった。
 試合後、下を向く選手たちを集めて森監督は「この悔しさを受け止めて残り2カ月で、もう一回乗り越えることができるか」と鼓舞した。昨秋に比べて長打力が増すなど成長を遂げている浦和学院。もう一段階レベルを上げるため、夏に向け濃密な2カ月を過ごすことに期待したい。

 

月山 課題克服の一発

 浦和学院の2番月山が本塁打を含む2安打2打点とバットで意地を見せた。0―6の六回1死の打席で「突破口を開かないといけない。無意識に振った」とストレートを完璧に捉え、左翼席に放物線を描いた。
 昨秋まで打力が課題だったが、「強い打球を意識して冬は振り込んだ」と強化。森監督が「いぶし銀」と評価するほどまでに成長し、上位打線に欠かせない存在となった。月山は「ストレートに押し込まれないスイング」という新たな武器を手にし、夏に向け自信を付けた。

 

=埼玉新聞2023年5月5日付け1、9面掲載=

 

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