埼玉新聞社 高校受験ナビ

模擬起業への挑戦ー大宮開成高校

高校生模擬起業グランプリ1次審査通過
アロマキャンドルのネット販売開始

 

高校生模擬起業グランプリ「リアビズ」に参加している模擬会社「ジャスミン」の女子生徒8人=さいたま市大宮区堀の内町1丁目の大宮開成高校

 

 

 大宮開成高校(さいたま市大宮区)1年の女子生徒8人が、2022年度高校生模擬起業グランプリ「リアビズ」の1次審査を通過し、今月1日から商品のネット販売を始めた。廃棄される「ロスフラワー」を活用した商品で、放課後に集まり試行錯誤を重ねてきた。起業という初めての挑戦。学業や部活動による多忙な日々。擦れ違いが生じて空中分解する寸前の危機を乗り越え、8人はグランプリを目指し奮闘している。

 

ロスフラワーを活用した商品の「アロマキャンドル」。香りはレモンとラベンダーの2種類

 

 「リアビズ」は、認定NPO法人「金融知力普及協会」が主催。7月の1次審査を通過した全国11の高校生のチームが、30万円の資金を得て模擬会社を起業している。11月の販売、12月の決算、活動報告などを経て、来年2月にグランプリが決定する。グランプリの賞品は100万円相当のビジネス研修旅行。

 

■コロナで修学旅行中止
 模擬会社は「ジャスミン」。鍵竹織さん(16)が社長と人事・法務部を務める。鍵さんは「授業でSDGs(持続可能な開発目標)を学び、自分たちも解決できるものがないか」と考え、ロスフラワーの活用を決めた。リアビズに参加した動機は、「100万円の研修旅行」と正直に話す。コロナ禍で中学3年時に奈
良・京都への修学旅行が中止になり、仲間との旅行が悲願だ。
 仕入れ先の花農家を探したり、商品開発に試行錯誤した。ローズとグレープフルーツの香りを楽しむアロマボム(税込み1430円)は、材料の重曹、クエン酸などの役割を調べて数十通りの組み合わせを試した。水に投入して2~3分で溶けるには、直径約4㌢が適しているとして商品化。水に溶けた後に、消臭剤としても使えるという。2種類の香りのアロマキャンドル(同1540円)も商品化した。
 経理部長の有木結乃さん(16)は「実際に会社を立ち上げるのは大変だと思った。みんなに支えてもらって良い経験」。仕入れ部長の新井木夏さん(16)は「自分の中で一番大きなチャレンジ。もう少しなので頑張りたい」。同部の久保望桜さん(15)は「高校生のうちに会社を立ち上げる経験ができた。今後に生かしたい」と意気込んでいた。

 

■「空中分解」寸前で結束
 8人はいずれも陸上部や吹奏楽部などの部活に入っている。学業、部活、ジャスミンの全てをこなすのは難しく、雰囲気が悪くなったことがあるという。担任の臼井智広教諭が異変に気付いて8人を集め、言いたいことを言い合って、より結束が強まった。
 人事法務部長の和賀井心渚さん(16)は「みんなで一つのことに向かって頑張れていることがうれしい」。広報マーケティング部長の矢上美花さん(16)は「文化祭の準備もあって、手いっぱいだった。ここが踏ん張りどころなので、みんな以上に頑張りたい」。同部の松原紗葉さん(15)は「部活に忙しくて、仕事をサボったことがあった。全員で集まって活動できていることがうれしい」と話していた。
 経理部の阿久津千佳さん(16)は「コロナ禍で自由にしたいことができない環境だった。大好きな仲間と好きなことができることに感謝している」。鍵さんは「初めてのことで不安はあったけれど、支えてもらった。みんなと協力して、良い結果を取りたい」と笑顔で語った。

 

=埼玉新聞2022年11月9日付け9面掲載=

 

サイト内の

大宮開成高校の基本情報は→こちら

カテゴリー

よく読まれている記事

最新の記事

TOP