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秩父の高校生ら「飴売り具さん」の朗読劇を韓国で披露

 秩父ユネスコ協会のメンバーが8月25日に韓国の天安市を訪問し、朝鮮人虐殺を題材にした朗読劇「約束は今も」を披露した。関東大震災の直後に寄居町で殺害された朝鮮人青年、具学永(ク・ハギョン)さんを描いた絵本「飴(あめ)売り具学永」=金鐘洙(キム・ジョンス)著=をもとに、県立秩父農工科学高3年の秋池柚さんが脚本を作成。当日は大学生や同校生徒ら計6人が、韓国語訳の字幕を映しながら日本語で朗読した。同校1年の大浜広海さん(15)は「メンバーの演技力を韓国の方々にぶつけることができれば、思いは伝わる」と信じ、具さん役を演じきった。

 

朗読劇「約束は今も」を披露した秩父ユネスコ協会のメンバー=8月25日、韓国天安市(同協会提供)

 

 朗読劇は、女子高校生アカネが100年前にタイムスリップし、具さんと共に朝鮮人虐殺事件に巻き込まれるストーリー。震災後、「朝鮮人が放火している」などの流言が町中に広がり、具さんは自警団にとらわれ、無惨な死を遂げた。アカネは事件を目の当たりにし、「定かでないうわさをうのみにし、暴力を振るうことは決して許されない」といきどおった。
 公演前、大浜さんは「朝鮮の来賓方々の前で、日本人の私たちが朝鮮人虐殺という悲惨な物語を朗読したら、怒らせてしまうのではないか、悲しませてしまうのではないか」と、不安に駆られていたという。
 実際にステージに立つと、優しく温かいまなざしがメンバーに向けられ、大浜さんは自信を持って具さんを演じ切ることができた。公演後、盛大な拍手が会場から湧き起こり、「歴史を幅広い年代に伝えていくことの大切さを学ぶことができた」と大浜さんは実感した。
 秩父ユネスコ協会は10年以上前から毎年、平和について考える講演会や高校生らによる朗読劇を実施。今回の韓国公演は、同協会の活動を知った金さんが招待して実現した。当日、朗読劇を鑑賞した金さんは「私の作品(飴売り具学永)にアレンジが加えられ、現代の日本人の温かい気持ちを知ることができた。具さんの心情も十分伝わった」と絶賛していた。

 

=埼玉新聞2023年9月4日付け11面掲載=

 

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