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第105回高校野球埼玉大会【新時代への挑戦・上】昌平

 埼玉高校野球界に新しい風を吹かせる―。第105回全国高校野球選手権記念埼玉大会が7月8日に開幕する。埼玉の甲子園出場校は2010年の本庄第一以降、浦和学院、春日部共栄、聖望学園、花咲徳栄の私学4強が占めてきた。この厚い壁を破り、新時代を築かんとする有力校の挑戦の夏に迫った。

 

自信を胸に勝負の夏

 

 開幕まで2週間を切った27日、宮代町内のグラウンドでは昌平高校OBの黒坂洋介監督が目指す昌平野球の根幹が垣間見えた。監督と選手間で何度もプレーの状況判断を確認する。誰かが指摘を受ければ、すかさず仲間が「本当に分かっているか」と問いかける。自信を持って試合に臨むために、目指す野球の意図を理解しようと、真剣な声が飛び交っていた。

 万全の状態で臨んだ秋季関東大会の初戦敗退が分岐点となった。1勝すれば4強入りし、選抜出場が濃厚となる一戦で慶応(神奈川)に力負け。「戦術じゃなく、あそこで力を発揮できる野球への思い、人間力が必要だった。最後はここ(心)が出る」と指揮官は自身の胸を指した。試合の局面で顔をのぞかせる心の弱さを取り除くため、以前にもも増して精神面を重視して選手を見るようになった。

 

黒坂監督(左から2人目)の説明に真剣に耳を傾ける選手たち=27日、宮代町総合運動公園球場

 

課題解決で精神面成長

 

 昨年11月からは選手自らの希望で課題練習の時間を設けた。その内容も実施の有無も個人に任せる。全体練習後に、2時間ほど各自が使える場を設けたことで「自分の課題をその日のうちにつぶせる」と副主将の金子晄也は効果を実感する。個々が足りないものを補強したことで、春の関東8強入りにつながった。

 初めて昌平が夏の埼玉大会決勝に進出したのは21年。この時は浦和学院に4―10で敗戦した。緊張を強いられながらの連戦は、体力と精神を疲弊させた。決勝前日、黒坂監督が「大丈夫か」と声を発するほど、選手たちの表情は疲労が色濃く出ていた。

 あれから2年。今夏の昌平は一味違う。充実の戦力と多彩な攻撃を武器に初の秋春制覇を成し遂げた。創部44年目。現チームは県内負けなしという実績と自信を胸に、勝負の夏に挑む。指揮官は「夏は特別。秋春と優勝しても心持ちは変わらない」と緊張感を高めている。主将の斎藤陽貴は「歴史をつくる挑戦の夏が来る」と力強く頂点を見据え、新時代を切り開く。

 

=埼玉新聞2023年6月30日付け7面掲載=

 

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