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第105回高校野球埼玉大会【新時代への挑戦・中】大宮東

謙虚に感謝貫く伝統

 「甲子園に行きます」。組み合わせ抽選会翌日の6月21日、大宮東の選手たちは一人一人が勇ましく目標を口にしてから、練習場に足を踏み入れた。4時間に及ぶ放課後の練習では最初から最後まで声が飛び交い、熱気に満ちていた。
 今春の県大会で、2年左腕の冨士大和が4試合に先発し、34回1/3で6失点と安定感ある投球で4強入りに貢献した。準々決勝では近藤孝栄、山田恵悟の2年による完封リレーも披露。中軸を担う3年の大高千波は試合後に「2年が頑張って投げる中で3年がしっかり守っていく」と学年を超えたチームワークを下地に、守り勝つ野球が真骨頂だ。

 

実戦を想定した守備練習を行う大宮東の選手たち=6月21日、大宮東高校

 

主将廃止し責任感養う

 昨秋から3月までの間、一人一人の責任感を養うために主将制度を廃止した。指導者と選手が一対一で意見を交わす場を設け、とことん向き合ったことで信頼関係を構築。3月24日からは5日間の関西遠征を4年ぶりに開催。例年Aチームのメンバーに限定していたが、今年は3年生26人が全員参加した。レギュラーか否かは関係なく「みんなで勝つんだ」という意識が浸透し、強固な一枚岩となった。
 指揮を執るのは、1990年に大宮東を初めて夏の甲子園に導いた初代監督・故宗像宜弘氏を恩師と仰ぐ飯野幸一朗監督。部活動としての人間形成と甲子園出場の両立を目指すハイブリッドベースボールチームを掲げ、「時代にマッチさせながら、うちの遺伝子を絶やしてはいけない」と意志を貫く。
 宗像氏が常々口にしていたという「実るほど 頭(こうべ)を垂れる稲穂かな」という言葉は、令和の今も受け継がれている。グラウンド整備や打撃練習の球入れの度に、手を挙げて「ありがとう」と選手間で伝え合う。謙虚に感謝し、礼を尽くす伝統は変わらない。
 埼玉大会を制した夏から33年。グラウンドに集まるOBの期待を重圧に感じることもあったという主将の桑野倖成は「自分たちにできるのは結果での恩返し。期待を力に変えて、絶対に優勝して甲子園に乗り込む」と古豪・大宮東の誇りを胸に集大成の夏を迎える。

 

=埼玉新聞2023年7月1日付け7面掲載=

 

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