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第105回高校野球埼玉大会【新時代への挑戦・下】山村学園

貪欲な走塁 意識徹底

 埼玉県制覇―。
 昨年10月、初出場の秋季関東大会での敗戦を機に、山村学園のグラウンドには岡野泰崇監督と選手たちで決めた5文字の目標が至るところに張り出された。土浦日大(茨城)に逆転勝ちで8強入りするも、準々決勝で山梨学院に1―9の八回コールドで敗れた。
 「あの一戦がなければ本気で甲子園を目指していなかった」。主将の今岡達哉は山梨学院戦を振り返る。その後、秋の関東、今春の選抜大会を制した強豪に六回まで2点差の試合を演じた。「最後まで競れたら(選抜出場の)可能性があった。近くはないけれど行けなくはない」(今岡)と夢が現実味を帯びた。
 2010年に就任した岡野監督の意識にも変化が生じる。昨夏まで埼玉の勢力図を変えようと「打倒浦学・徳栄」を目標に掲げてきた。21年夏の5回戦で優勝候補の花咲徳栄を破るなど存在感を増す一方で、夏の最高成績は19年の準優勝と殻を破りきれずにいた。「そこを目指すのはもうやめる。甲子園で勝つと口に出そう」と明確に合言葉を変えた。

徹底した走塁練習に打ち込む山村学園の選手たち=6月13日、山村学園グラウンド

 

全員野球で結束強める
 前チームに比べ打力で劣る今季は、走塁や小技を重点的に鍛える。無死二塁でも1本の安打で本塁を突く意識を徹底。貪欲に1点を狙いにいくスタイルに、指揮官は「今年は2―0で勝てるチーム。負けない野球を徹底したい」と粘りの山学を掲げる。
 打力の向上にも余念はない。練習の最後には、音に合わせて300回の素振りを行っている。等間隔で4秒に一振り、50回を6セット。ボールの軌道、コース、高さを意識しながらリズムよく振り込むことでスイング力を強化し、夏に向けて着々と仕上げている。
 選手らは自らを、各自は小さな力でも束になれば強者を倒せる「アリんこ軍団」と称する。最大の強みは打順に関係なく塁に出て、送って、かえすことができる全員野球。今岡は「最後九回が終わって1点勝っていればいい。魂を燃やして諦めず勝ち進みたい」。一歩一歩前に進み、頂点の座へ上り詰める。

 

=埼玉新聞2023年7月2日付け9面掲載=

 

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