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閉鎖の鍾乳洞調査に貢献ー川越高校地学部

報告書収容論文を執筆

 小川町教育委員会は、県指定天然記念物の古寺(ふるてら)鍾乳洞調査報告書を作成した。調査には県立川越高校地学部が協力。部員たちは鍾乳管の計測と洞内気温の分析を担当し、成果は発行された報告書に盛り込まれた。

調査に協力した地学部の部員ら=川越市郭町の県立川越高校

 

 古寺鍾乳洞は小川町下古寺にあり、総延長約220㍍。公開した時期もあるが、管理上の問題で1970年以降は中止されている。2018年に鍾乳洞の土地が地権者から町に寄贈され、町教委が19年度~21年度に地質、動物、植物の3部門で調査した。
 地学部は閉鎖前に洞内を調べた実績があり、当時部員として関わったOBで元高校教諭の松岡喜久次さん(70)が地質部門の担当を依頼されたことから、現役部員の参加が実現。松岡さんは「期間が短くて人手が必要だったので、高校生たちにも手伝ってもらうことにした」と話す。
 部員の洞内調査は21、22年に計4回行い、今春の卒業生から現2年生までが参加した。収容した論文は、いずれも3年生の川角(かわすみ)周(あまね)さん(18)、神田光稀さん(18)、外山壮太さん(18)、佐々木謙一さん(17)が執筆している。
 長年閉鎖されていた鍾乳洞での調査は、楽ではなかった。外山さんは「きつい体勢で鍾乳管を測ったりした」と苦笑い。だが、学びも多かったようで、佐々木さんは「実際に入ったからこそ、形状の傾向といった知らなかったことが見えてきた」と言う。
 気温の分析では、外気温との関係も判明。前副部長の神田さんは「2カ月ぐらいずれて変化していることが分かった」と説明する。前部長の川角さんは「論文の書き方も学べた。大学は地学関係の学部に進みたいので、役に立つはず」と将来を見据える。

発行された古寺鍾乳洞調査報告書

 

 町教委によると、報告書は約250部印刷され、6月ごろから関係機関などに送付。町立図書館や県内の図書館で閲覧できるほか、町のホームページでもウェブ版を公開している。顧問の鈴木禎一教諭(63)は「半世紀を隔てての調査に、地学部の伝統を感じた。私たちの部にとっても、大きな成果」と喜んだ。
 報告書についての問い合わせは、町教委生涯学習課文化財担当(☎0493・72・1221=代表)へ。

 

=埼玉新聞2023年10月18日付け19面掲載=

 

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