熊谷市出身で、日本初の公認女性医師となった荻野吟子を主人公にしたオペラの制作を目指す音楽家らが4日、同市妻沼の妻沼聖天山歓喜院と群馬県千代田町の光恩寺で、県境をまたいだコンサートを行った。同市の旧妻沼町は吟子生誕の地で、光恩寺には生家の長屋門が移築されている。「荻野吟子の時代をめぐる音楽」と題した演奏会は、昼夜の2公演で開かれた。

国宝の本殿で演奏する(右から)岡崎麻奈未さん、原田勇雅さん、大馬葉月さん=4日、熊谷市妻沼の妻沼聖天山歓喜院
企画したのは、旧妻沼町出身のソプラノ歌手岡崎麻奈未さん(41)。オーストリアのウィーンを拠点に活動している岡崎さんは2017年から、自身が卒園しためぬま幼稚園を運営する歓喜院で、3年に1度の演奏会を催してきた。4回目となる今春は、オペラのPRも兼ねて計画。オペラ荻野吟子実行委員会が主催し、オペラの脚本とプロデュースを担当する熊谷市出身、在住のバリトン歌手原田勇雅さん(44)、同市在住のピアニスト大馬葉月さん(48)と共演することになった。
岡崎さんは里帰りコンサートを開くようになった理由を、「地元が私の原点なので、古里の人たちと音楽がつな
がる場所をつくりたかった」と語る。吟子を題材にしたオペラ制作は、その延長線上で発案し、2022年から構想が動き始めた。吟子を演じる岡崎さんは「自分の信念を貫き通し、人のために尽くした郷土の偉人を音楽で伝えたくなった」と瞳を輝かせる。
県立熊谷女子高校卒業の岡崎さんと同熊谷高校出身の原田さんは高校時代、それぞれの音楽部(合唱部)で活動していた。原田さんは3学年上だが、両校の音楽部は年1回の合同演奏会を行っているため、岡崎さんが1年生の頃、OBとなった原田さんと知り合ったという。長年の交流がある原田さんは、制作への協力を快諾。作曲家や指揮者の選定も進めている。「吟子はメッセージ性の強い人。彼女の生涯を音楽に乗せることで、日常の応援歌となる作品にしたい」と思い描く。
コンサートでは吟子の生涯を三つに分け、それぞれの時代にふさわしい日本歌曲やオペラアリアなどを演奏した。くまがや市商工会会長で、実行委員会会長の小林洋一さん(58)は会場で、「今日のコンサートは夢への第一歩。手づくりのオペラなので、たくさんの市民に協力していただきたい」と呼びかけた。
オペラは27年夏、市内で初演予定。制作費の協賛も受け付けている。
問い合わせは、オペラ荻野吟子実行委員会会長の小林さん(☎090・4360・3505)へ。
=埼玉新聞2026年4月8日付け11面掲載=
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