埼玉県は社会のニーズに対応した特色ある県立高校づくりを推進するため、令和8(2026)年4月1日に新校6校を開校。
ここでは「八潮フロンティア高校」「秩父高校」「越生翔桜高校」の3校を取り上げる。
「大宮科学技術高校」「岩槻高校」「和光国際高校」
◆八潮フロンティア高校(八潮市)
ビジネス分野開拓する人材を育成

1年目からビジネスコミュニケーションといった実践的な授業を展開
八潮フロンティア高校は、八潮高校と八潮南高校の再編整備により誕生した。県内公立高校で唯一の片仮名を含む学校名には「八潮から日本全国へ そして世界へとビジネス分野を開拓していく人材を育成したい」との思いが込められている。
学科は普通科とビジネス探究科で構成。ビジネス探究科は、学習指導要領で商業科目に盛り込まれている「マーケティング分野」「マネジメント分野」「会計分野」「ビジネス情報分野」の4つの分野を網羅し、また県内でも珍しい「観光ビジネス」の選択科目を設けている。普通科の生徒も希望に応じて、ビジネス基礎や観光ビジネスなどの科目を選択可能。普通科、ビジネス探究科ともに、これまで2校の卒業生が歩んできた大学、短期大学、専門学校への進学から、大手、地元企業への就職、自治体への入職といった多彩な進路の実現に手厚いサポートを継続していく。
さらに同校は現在、2028年度の株式会社設立を目指している。希望する生徒が主体となり、地元企業と連携した商品開発と販売など、実践的かつ体験的なビジネス教育で経験と学びを深め、生徒自身による設立、運営をゴールに取り組んでいる。いずれの学科からも参加が可能。同校の重点目標のひとつである、あらゆる教育活動を通じての「主体的・対話的で深い学びの実践」を体現するような試みとなっている。
2校の統合により、市内で唯一の高校になった。校章は八潮高校のものを継承。校歌は古関裕而氏作曲の八潮南高校の歌詞を生徒の意見を取り入れて改変し、両校の伝統を絶やすことなく未来へと紡ぐ。
初年度となる今年度は新入生237人が入学。在校生と合わせ630人でスタートした。開校式・入学式の中で中山望校長は「一人一人が主体性を持って学校生活に臨み、新校を発展させていくことを期待しています」と呼び掛けた。新たな歴史を紡ぐ生徒たちへ「学力、人間力、社会人基礎力を養い、八潮から広く地域および国際社会に貢献できる人材を目指してほしい」とさらなる期待を寄せている。
◆秩父高校(秩父市)
地域とともに学び育む

自分の意見を英語で発信する力を養う
秩父高校は皆野高校と統合し、新たな秩父高校として再スタートを切った。従来の普通科(=160人)に加えて国際教養科(=40人)を新設し、グローバル社会で活躍できる人材の育成を目指す。
国際教養科では、「語学力」と「教養」の両面から学びを深める。多様な知識を土台に、自分の意見を英語で発信する力を養う。「総合英語」の授業では、ALTとのチーム・ティーチングを実施。習熟度別の少人数制(最大20人)を導入し、各クラスにALTを配置することで、きめ細やかな指導を実現する。さらに海外講師によるオンライン英会話を週1回行い、授業での学びを実践につなげている。英語に力を入れる一方で、理系科目も単位に組み込むことで進路の幅を広げる。
普通科では、「特別進学クラス」と「総合進学クラス」の2コースを設置。特別進学クラスでは、国公立大学や難関私立大学への進学を見据えた指導を行う。総合進学クラスでは、公務員志望に対応した「ビジネス基礎」や、医療系への進学を見据えた「医療系理科」など多様な選択科目で生徒の進路選択に対応する。
進路指導も充実しており、担任との面談を高頻度で実施するほか、ほぼマンツーマンで小論文指導を行うなど手厚く支援する。大学受験を見据えた予備校などの施設が少ない環境を踏まえ、補習で学習機会を確保。図書館には自習スペースを設置し、学習環境も整えた。国公立大学に毎年卒業生の約1割が合格するなど、着実に成果が現れている。
さらに、秩父市と連携した探究学習も特色の一つだ。「総合的な探究の時間」の授業では、秩父市の高校魅力化コーディネーターがサポートし、外部人材との橋渡しを担うことで、実社会と結び付いた学びを生徒に提供している。
松本英和校長は「秩父高校のブランドは不滅。高い志と知的好奇心を持つ生徒に来てほしい。それに応える職員とカリキュラム、地域の支えはそろっている。」と力を込める。
新たな秩父高校は伝統と革新を融合させ、これからも地域とともに歩みを続ける。
◆越生翔桜高校(越生町)
可能性を伸ばすキャリア教育

デジタル分野を支える人材育成も進める
越生高校と鳩山高校の伝統を引き継ぎ誕生した越生翔桜高校は、普通科・美術表現科を設置し、「温故創新」を校訓とした主体性と創造性を育む専門教育を充実させている。
県内唯一の学科である美術表現科(1クラス=40人)では、2年次の週2回の必修科目に「アニメーション」を設ける。同科目は、1年次の「映像表現」の授業で学んだ撮影方法や編集の基礎技術を発展させた同校独自のカリキュラム。紙や鉛筆などで作画するアナログ表現とデジタル端末で作画するデジタル表現、素材を少しずつ動かして撮影するストップモーションアニメに取り組むほか、アニメーション制作会社の技術者による出張授業も行われる。
素描などの基本的な技能を身に付けつつ、より専門的な美術表現の学びも展開していく。1年次に理論や知識、実技制作、歴史など美術の基礎を固めた上で、2年次では絵画、彫刻、ビジュアルデザイン、クラフトデザインの4分野から2つを選択して学ぶ。3年次にはさらにアニメーションを加えた5分野の中から1つを選択し、3年間の集大成となる作品を完成させる。
普通科(3クラス=120人)では、2年次から「進学系」と「総合系」に分かれる。進学系では理科の科目を多く取り入れるなど文系・理系・看護医療系の大学、短期大学、専門学校への進路希望に幅広く対応できるようになっている。総合系は3年次「情報ビジネス系」、「アート系」に分かれ、それぞれでビジネス基礎や情報処理、ソフトウエア活用、アートデザイン基礎、情報デザインなどのカリキュラムを用意する。
文部科学省の「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」に指定され、普通科では、プログラミングやデータサイエンスを学ぶ授業、美術表現科ではICTを活用した美術の表現方法について学ぶ授業を展開し、デジタル分野を支える人材育成も進める同校。中山厚志校長は、「一人一人の興味関心、可能性を伸ばすことができる学校。夢や進路の実現に向け、皆さんを力強く後押ししていきたい」と語っていた。
=2026年7月発行 埼玉新聞「令和9年度 高校入試対策特集」掲載=
<2026年度開校の6校>
●先端産業分野で活躍できる人材育成を目的とした高校
「大宮科学技術高校」は県立大宮工業高校と県立浦和工業高校が統合
●国際感覚を身に付けたグローバル人材の育成を目的とした高校
「和光国際高校」は県立和光国際高校と県立和光高校を統合
「岩槻高校」は県立岩槻高校と県立岩槻北陵高校を統合
「秩父高校」は県立秩父高校と県立皆野高校を統合
●アニメーション・美術分野で活躍できる人材育成を目的とした高校
「越生翔桜(おごせしょうおう)高校」は県立越生高校と県立鳩山高校を統合
●ビジネス分野で活躍できる人材育成を目的とした高校
「八潮フロンティア高校」は県立八潮南高校と県立八潮高校を統合
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