3年がかり、土壌改良も
学校の風景を自分たちの手でつくる―。そんなプロジェクトに城北埼玉高校(川越市古市場)の生徒が挑戦している。民間事業者の協力で植栽をデザイン。微生物の生息を促すために土壌改良を施し、3年がかりで緑の空間として定着させる。生徒らは「人間と自然の共存を考える機会にしたい」と思いを寄せる。

BIOTAのスタッフと共に植栽スペースの整備に当たる城北埼玉高校の生徒=7日、川越市古市場
「雑草を取ろう。ポイントは、周りを掘り返しすぎないこと」。7日午後、同校敷地内の植栽スペース。集まった生徒は、微生物の研究などを手がける会社「BIOTA」(東京都港区)のスタッフからアドバイスを受けながら、ドクダミなどを取り除いた。
プロジェクトに取り組むのは同校フロンティアコースの1、2年生計48人だ。
1階来客用入り口のそば。旗を掲揚するためのポール3本が立つL字形のスペースには、かつてツツジが植えられていた。
プロジェクトに当たって生徒は、「微生物多様性の重要性」や「土づくりの考え方」をテーマに、BIOTAスタッフから講義などを受けた。ワークショップでのアイデアを基に、植栽スペースのデザインを考案。ツツジに代わって、コナラやアカシデといった落葉高木など約20種類の植物を配置させた。
有機物を分解する微生物が、すみやすいようにする環境も整えている。腐葉土や竹炭を土に混ぜて土壌を作った。植栽は来客用入り口付近のほかに正門の両脇でも行った。
2年生の磯部祥汰さん(17)は「自分たちで作った土はふわふわして温かみがある。生命の強さを感じる」。2年生の三上拓也さん(17)は「本格的に土に触れるのは初めてだった」と振り返る。
育ちゆく植物が、見慣れてきた学校の風景を少しずつ変えていく。2年生の敷村朔さん(17)は周辺が「爽やかになった」と印象を語り、「見ていても心が安らぐ。自分が学校の一部になったようで親近感が湧く」と話す。
BIOTAの伊藤光平代表取締役(30)はプロジェクトで、複数の植物を組み合わせて生態系をつくり「緑への解像度を高める」ことに狙いを定める。「普段通っている学校や、そこに集まる生物に関心が向き、より愛着が形成されるとうれしく思う」と展望する。
2025~27年度を期間として始まったプロジェクト。今後は植栽の変化を観察しながら、生徒が生物多様性について継続的に学ぶ機会を設ける。生徒が取り組みに関して外部に発信することも視野に入れるという。
フロンティアコース主任の南部大輔教諭(35)は「目には見えない微生物がつくる環境で私たちは生かされている。自然と人間との共存を考えてほしい」と求めている。
=埼玉新聞2026年10月19日付け15面掲載=
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