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浦和学院 4季連続Ⅴ-春季高校野球県大会

浦学 17度目頂点 2年連続

県内25連勝

浦和学院―山村学園 8回裏浦和学院無死満塁、金田が2点適時二塁打を放ち三塁走者の大内が生還する=4日、県営大宮球場

 春季高校野球県大会(4日・県営大宮) 

 最終日は決勝を行い、Aシード浦和学院が4―0でノーシード山村学園を下した。浦和学院は2年連続17度目の栄冠に輝くとともに、4季連続で県大会優勝。昨春から続く県内公式戦の連勝記録を25に伸ばした。
 浦和学院は、四回2死二塁から高山の中前タイムリーで先制。八回には無死満塁から金田の2点二塁打と大勝の適時内野安打で追加点を奪った。先発の芳野は6回無安打の好投。七回から登板した金田が2安打に抑え、継投で完封した。
 浦和学院と山村学園は関東大会(21~24、28、29日・栃木)に出場。浦和学院と山村学園は、22日の2回戦から登場し、浦和学院は桐蔭学園(神奈川2位)、山村学園は市船橋(千葉1位)と対戦する。

 

 浦和学院は、先発芳野が6回無安打無失点の好投、打線も効果的に得点を挙げ、山村学園を4―0で下した。
 四回2死二塁で高山の中前適時打で先制。八回には、無死満塁から金田の右翼線への2点二塁打と大勝の適時内野安打で3点で加えた。七回から登板の金田は3回を2安打無失点に封じ、相手に一度も三塁を踏ませなかった。
 山村学園は3度得点圏に走者を進めたが、一本が出ず。七回まで1失点の佐藤実は八回に3失点し、踏ん張れなかった。

 

重圧力に続ける進化

浦和学院―山村学園 6回無安打無失点と好投した浦和学院の芳野=県営大宮

 

 「県内向かうところ敵なし」と思わせる戦いぶりだった。浦和学院が県大会4季連続優勝に、県内公式戦25連勝と圧巻な記録を築いた。森監督は「選抜から帰って来て、勝たなければいけないプレッシャーがあった。モチベーションを切らさず、良く戦ってくれた」と重圧から解放されて疲労感をにじませた。
 選抜大会後、チームは春季大会に向けて投打でテーマを掲げた。「投手は宮城に続く投手陣の底上げ。打撃は小技と機動力を駆使して1点をもぎ取る」
 まさに決勝は、新テーマを象徴する試合となった。チームが奪った4得点全てで犠打などの小技を絡めた。先制した四回の攻撃。無死一塁で指揮官は「迷いはなかった」と強打者の3番金田に送りバントのサインを出し、犠打が成功。3点を加えた八回は、無死一塁から1番小林の投前バントが敵失を誘い、続く伊丹のセーフティーバントで満塁とし、好機を広げ、中軸が走者をかえした。
 投げては、選抜大会準決勝で1イニング持たず降板した芳野が再起の先発。「とにかくキャッチャーを信じて投げた」と腕を振り、6回無安打と申し分のない内容。宮城に続く左腕として結果を残した。
 春の大会を通じてチームは成長を遂げた。今大会、宮城が登板したのは2試合のみで、その他の3試合は7人の投手で計2失点に抑えた。打線は選抜大会4試合で2犠打3盗塁だったが、今大会は5試合で11犠打9盗塁を記録。掲げたテーマを追究する姿勢が鮮明に表れた。
 「超攻撃野球を消さず、機動力をつける。すべては夏のために」(森監督)と浦和学院の進化は止まらない。捕手の高山は「冷静にもり立てて、打撃で貢献できるように成長したい」とさらなる高みを目指す。

 

エース級の好投

 浦和学院の先発芳野が、6回無安打無失点の投球で相手打線を沈黙させた。「持ち球をきっちりコースに投げることができた」と、歯を食いしばり強気に攻めた。左足がつり降板となったが、4四球以外は完璧な内容だった。
 選抜では甲子園で悔しい思いも経験した。準決勝の近江戦で五回から登板。2死を奪ったところで、審判に2段モーションを指摘され乱れた。四死球で満塁とし無念の降板。「自分のフォームを動画で研究した。フィットしている」と苦い思いを力に変え、新フォームに手応えを得ている。
 背番号1を背負う宮城への対抗心も原動力にする。「同じ左腕として負けたくないし、エースナンバーを持ちたい」と自らを鼓舞。エースへの挑戦権を次の成長へつなげる。

 

 

山村学園

課題痛感 夏へ追い風

8回裏浦和学院無死二、三塁、大勝の内野安打で本塁を突いた二塁走者金田(6)がタッチアウト。捕手山田浩

 

 層の厚い投手陣に対して突破口を見いだすことができなかった。山村学園は浦和学院の芳野を打ちあぐね、0―1の八回にはミスが絡む3失点。笑顔で躍動していたナインも意気消沈した。
 岡野監督は「実力が拮抗(きっこう)してくればミスが多い方の負け。あの場面で当たり前のプレーができなかったことが課題」とバント処理の失策でピンチを広げた八回の守備を悔やんだ。
 ストライクゾーンの横幅を目いっぱいに使い、1失点で味方の援護を待っていた先発の左腕佐藤実。八回先頭の大内に左前打を許すと、続く小林の犠打をさばく一塁送球が乱れた。「ちょっと慌ててしまった」と、後続にも投げ急いだ球を痛打された。
 大会前の練習試合では結果が出ず、「チームがばらばらだった」と捕手山田浩。野球を楽しむ原点に立ち返り、『一笑懸命』が合言葉になった。勝ち上がるごとにチームがまとまり、川越東との3回戦、花咲徳栄との準々決勝ではシード校相手にいずれも1点差の勝利をつかみ取った。
 2019年の春季大会では春秋通じて初の関東切符を獲得し、関東4強へ駆け上がった。その夏の県準優勝はチームの最高成績。夏のシード権と関東大会出場は、大志を抱いて大海へこぎ出すチームの追い風となる。
 「いい投手をどうやって打つのか。あのボールを低く強く打てるようにならなければ」と岡野監督。関東の好投手と相対する経験が、そのまま夏を勝ち抜く糧になるはずだ。

 

佐藤実「6~7割で」丁寧に内外へ

 山村学園の先発佐藤実は「6~7割の力で、いい意味で軽く投げた」とゆったりした予備動作から鋭い球を投げ込んだ。岡野監督には「心の緩急をつけろ」と丁寧に投げるよう助言を受けた。左打者への内角直球と外へ逃げるスライダーを軸に、浦和学院相手に七回まで4安打1失点と渡り合った。スライダーは「ボール1個分にこだわって練習してきた」と変化量を使い分けた。
 今大会はリリーフと先発の両方を経験し、「100%で迎えたい」と夏を見据えた。

 

=埼玉新聞2022年5月5日付け1面、7面掲載=

 

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