夢への道「すぐ一歩を」
ロシアに軍事侵攻を受けているウクライナから避難したバレエダンサーの長沢美絵さん(36)が8日、東松山市松葉町の市立松山第一小学校に招かれ、キャリア教育講演会で夢をかなえるまでの道のりを語った。講演会には6年生の児童67人が参加。長沢さんは「自分の気持ちに正直であることを大切に。そして、その時に一歩を踏み出してください」と呼びかけた。
児童代表の言葉に耳を傾ける長沢美絵さん(左)=8日、東松山市松葉町の市立松山第一小学校
鳩山町出身の長沢さんは2歳の頃にバレエを始め、西武文理高校を卒業後、19歳でロシアの最高峰である「国立ワガノワ・バレエ・アカデミー」に留学した。ウクライナでプロのダンサーとなり、2010年からは「キーウ(キエフ)・クラシック・バレエ団」に所属。最高位のプリンシパルとして活躍してきた。現在は実家がある東松山市内で、同じバレエ団の夫や1歳の長男と避難生活を送る。
長沢さんは、鈴木寿校長の質問に答えながら、幼少期からの歩みを振り返った。
小学校教師が夢だった長沢さんは、町立鳩山中学校時代は陸上部にも所属。だが、3年生の時、テレビ番組で同アカデミーの存在を知り、バレエに打ち込もうと決意した。「留学するため、ロシア人指導者がいる教室を自分で探し、高校生の頃は東京都内まで毎日通った」と言う。
高校卒業後、挑戦2年目でアカデミーに合格し、2年間留学。その後、十数カ国でオーディションを受けたものの、身長155㌢の小柄な体格が不利に働き、所属バレエ団が約1年決まらなかった。だが、「小さいから真ん中で踊りたい。とことんやろう」。現在のバレエ団でプリンシパルの地位をつかんだ。
目標の達成には「毎日こつこつと、目の前のことを一生懸命やるのが重要」と強調する。「くじけそうになっても、好きな気持ちがパワーになった」と力を込めた。
講演を聞いた中村翠さん(11)は、「好きなことを貫き通して尊敬する」と憧れのまなざしを注ぐ。長谷部信治郎さん(11)も「夢の実現には困難を乗り越えることが必要と分かった」と話した。
=埼玉新聞2022年6月10日付け14面掲載=
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