浦和学院は浦和東と初戦
7月8日に開幕する第104回全国高校野球選手権埼玉大会の組み合わせ抽選会が15日、さいたま市大宮区のレイボックホール(同市民会館おおみや)で行われ、出場147チーム(159校)の対戦カードが決まった。
緊張した面持ちでくじを引く各チームの主将ら=15日午後、さいたま市大宮区のレイボックホール
選抜大会4強のAシード浦和学院は県内5季連続優勝を懸け、初戦の2回戦で浦和東の挑戦を受ける。
春季県大会準優勝のAシード山村学園は、2回戦で深谷商と対戦。同4強のBシード勢は、上尾が吉川美南、市川越が大宮武蔵野とそれぞれ顔を合わせる。
選手宣誓は、第104回にちなんで、104番の抽選くじを引き当てたふじみ野の後藤航雅主将が務める。開会式後の開幕試合は、三郷北―草加西のカードになった。
開会式は7月8日、県営大宮で午前11時から3年ぶりに全出場校が参加して実施。決勝は同26日に行われ、優勝校が全国高校野球選手権(8月6~22日・甲子園)に出場する。今大会は、開会式と開幕試合は入場無料。同9日以降の全ての試合が有料有観客で行われる。
頂点へ 全力の夏
組み合わせが決まり、新たに気合を入れるA、Bシードの(左から)浦和学院・八谷晟歩主将、市川越・関盛宏主将、上尾・金丸健司主将、山村学園・坪井蒼汰主将=15日午後、さいたま市大宮区のレイボックホール
大会展望
浦学 優勝の筆頭格
強打健在 徳栄が対抗馬
旧さいたま市民会館おおみやから、今年4月に開館したレイボックホールに移って初めて行われた組み合わせ抽選会は、緊張感に包まれた。
各校の主将が抽選ボックスから引いた番号の発表を、祈るように両手を握って耳を澄ませ聴く選手、どこのブロックに入るか固唾(かたず)をのんで見守る選手。選手宣誓がふじみ野に決まると会場は拍手が
起こった。そして組み合わせが決まると、選手たちは本番に向けて夏を見据えた。
今大会は、県内5季連続優勝を狙う浦和学院が優勝の筆頭格。だが、夏は波乱が付き物。現チームで黒星を喫した公式戦2試合は、ともに本格派右腕に苦戦し、延長の末に敗れた。粘り強く守って終盤勝負になれば、各チームに勝機が出てくる。
その対抗馬になるのが最速145㌔右腕のエース金子を擁する花咲徳栄だ。ここ数年のようにプロ注目選手はいないが、強打は健在。春季関東大会4強の山村学園は、坪井と酒井の3、4番コンビにパンチ力がある。上尾は、倉持と川口の二枚看板に金丸、石川と投打に安定感十分。
昌平、春日部共栄、聖望学園の私学勢がノーシードから巻き返せるか。また、伝統校を引き継ぎ初めての夏を迎える荒木監督が率いる川越工、室井監督が指揮する市川越にも注目だ。
新型コロナウイルスが世界的流行した2020年の時に入学したのが、今年の3年生。公立校をはじめ、週3日の活動で1日2時間以内に練習が制限された時期が続いた。「もっと練習をさせてあげたい」と願う指導者の声を何度も聞いた。だからこそ最後の大舞台では、悔いがないように白球を追ってもらいたい。
浦和学院
県内初 5季連続Vを
今春の選抜大会4強で、春季県大会、続く関東大会でともに優勝を飾ったAシード浦和学院は、初戦で浦和東と対戦が決定した。主将の八谷は「夏の初戦は緊張するから、最後の夏に向けて全員で一つになって臨みたい」と気合十分だ。
投打ともに準備は整っている。しっかりバットを振り抜く超攻撃野球に、春季県、関東大会で磨いた小技と攻撃は多彩。投げては、エース宮城だけでなく、芳野と浅田が頭角を現した。遊撃手と兼務する金田も後ろに控えており、投手層が厚い。埼玉大会まで残り約3週間。強化期間は終了し、あとは本番に向けてコンディション調整に注力する予定だ。
3季連続甲子園出場に、県内では史上初の5季連続優勝が懸かり、公式戦25連勝中と王者のみぞ知る背負う重圧は、計り知れない。だが、主将の八谷は「意識はしていない。ただ、夏の甲子園にもう一度帰りたいことしか思っていない」と語り、「夏はみんな必死になって戦ってくるから押しつぶされないように戦う」と頂点の座は誰にも譲らないつもりだ。
山村学園
悲願の舞台へ盤石
3年ぶりにAシードで夏を戦う春季県大会準優勝の山村学園。坪井、酒井の3、4番コンビを軸に先制点を奪い、右横手投げのエース山田翼で最少失点に抑えて逃げ切るパターンに磨きをかける。主将の坪井は「状態は良いから、もう一段階上げていきたい」と準備に余念がない。
山村学園は、今年の9月に創立100周年を迎え、所在地の川越市も市制施行100周年の節目の年。また、埼玉大会で躍進し、初めて決勝に進出した2019年と同じく、今春の関東大会で4強入りした。これが吉兆になることを信じて悲願の甲子園出場を目指す。
組み合わせが決まり、坪井は「緊張もあるけど楽しみしかない」と心を躍らせつつ、「全部強いチームなので気が抜けない」と夏本番に向けて表情を引き締めた。
上尾
スタイル突き通す
公立の星として期待が懸かる上尾の金丸主将は、「上尾高校は県内でも応援してくれる人が多いから感謝の思いを表現したい」と組み合わせ表を見ながら語った。
守備から流れをつくる上尾は、ランナーやアウトカウントなどさまざまな状況を想定した守備練習を徹底。打線は1番石川と金丸、駿河の3、4番を中心につなぎの意識が高い。同じブロックに昌平、春日部共栄と強豪私学がひしめくが、「上尾高校の一つ一つ勝っていくスタイルを突き通していきたい」と前を向いた。
市川越
目標明確 練習に熱
昨秋から指揮を執る室井監督に代わって初めての夏を迎えるBシード市川越。大宮武蔵野との初戦が決まり、主将の関は「決まるまで緊張や焦りがあったけど一安心した」とほほ笑んだ。
今春は、右腕藤井が先発投手として独り立ちし、左腕関との二枚看板を形成。スター選手は不在なものの、基本が徹底されて総合力がある。そして、チーム一丸で目指すは33年ぶりの甲子園出場。関は「ここからは明確な目標が決まったから練習につなげていくだけ」と意気込んだ。
因縁の相手 開幕飾る
三郷北vs草加西
開幕戦での対戦が決まり健闘を誓い合う三郷北・佐藤優空主将(左)と草加西・下畠世男主将
今夏の熱き戦いの始まりを告げる開幕戦は、三郷北と草加西のカードに決まった。右手を塩で清めてきたという三郷北の佐藤主将は「良い結果が出た」と笑顔で語った。
両校は、昨年11月に行われた4市(草加、三郷、八潮、吉川)大会の決勝でも顔を合わせた因縁の相手。佐藤主将は「一度負けているので本気で取り返す」と雪辱を誓った。
受けて立つ草加西の下畠主将は、チームで掲げる〝正々堂々〟のスローガンの下「自分たちの野球を貫く。最後の夏を良い思い出に」と力を込めた。
選手宣誓 ふじみ野・後藤主将
感謝胸に 気合十分
選手宣誓の大役を引き当てたふじみ野・後藤航雅主将
大会回数と同じで選手宣誓を行う「104番」のくじをふじみ野の後藤航雅主将が引き当てた。番号が読み上げられると、会場は大きな拍手に包まれた。「人生にない経験。こんな大役が務まるか不安に思った」と苦笑いで驚きの瞬間を振り返った。
宣誓の言葉は、チームで頼りにしている副主将の町田や捕手の本多と考え、今まで支えてくれた人への「感謝」の気持ちを込めるつもりだ。「7月8日(開会式)が待ち遠しい。悔いのない夏にしたい」と大舞台に気合十分で臨む。
=埼玉新聞2022年6月16日付け1面、6面、7面掲載=
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