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全国高校サッカー埼玉大会 昌平が2年連続6度目の全国へ

2年連続6度目の優勝を決めた昌平の選手たち=14日午後、埼玉スタジアム

 

 サッカーの第102回全国高校サッカー選手権埼玉大会(埼玉新聞社など後援)最終日は14日、埼玉スタジアムで決勝を行い、昌平浦和南を2―0で下し、2年連続6度目の栄冠に輝くとともに全国高校選手権(12月28日~来年1月8日・国立競技場ほか)の出場権を獲得した。
 昌平は前半28分、右サイドから持ち込んだ田中がシュートを放つと相手DFに当たってコースが変わり、ゴールネットを揺らして先制点を奪った。後半32分には左サイドからペナルティーエリアに進入した三浦が右足でゴールを決めて追加点を挙げた。守っては佐怒賀、坂本らDF陣が前後半でシュート2本に抑えて無失点勝利した。
 20日に全国高校選手権の組み合わせ抽選会が実施される。

 

冷静にゲーム掌握

昌平―浦和南 後半32分、チーム2点目を決めた昌平の三浦(右端)がチームメートと喜ぶ

 

 埼玉スタジアムに1万人超の観客が足を運ぶほど注目を集めた決勝で、昌平が王者の座を譲らず、その地位を確固たるものにした。長準は「(負けて)選手権に出られないことを想像してプレッシャーに感じた時もあったけど、やっと解放された」と80分間の死闘を制した表情には笑顔があった。
 歓声と熱気に包まれた決勝ならではの独特な雰囲気にも動揺することなく、王者の風格を見せた。守勢に回ってくる浦和南に対して昌平は、トップ下の土谷とボランチの大谷のポジションを常に入れ替え、相手DFのマークをかわした。試合序盤から中盤でボールを集めて両サイドに供給すると、スコアが動く。前半28分、田中瞭が「いつもの自分ならクロスを上げていたけど、点を取ってヒーローを狙う気持ちでいた」と左足でシュートを放って先制点を奪った。
 だが、1点だけでは安心できない。前回対戦した6月の県高校総体準決勝では、1点リードの状況から2失点した。苦い経験に基づき土谷は「受ける回数を増やした」と後半になるとより中盤でのボール回収を意識。守る時間は増えたものの、相手の強度が落ちた後半32分に途中出場の三浦が追加点を挙げ、勝利を決定づけた。
 セレモニーでトロフィーを掲げたのは、大会前のけがで離脱した主将の石川。今季の復帰は難しくピッチ外からチームをサポートする影の立役者に、長準は「彼が一番つらい思いをしているから絶対に県のカップを掲げさせてあげたかった」と歓喜を分かち合った。
 前回は3回戦で前橋育英(群馬)に敗れて悔しい思いをした全国の舞台に再び挑む。長準は「やっとスタートラインに立てた。(石川に)今度は日本一のカップを掲げさせたい」と仲間のためにも全国では頂点を目指す。

 

三浦 「理想の形」自画自賛

 昌平の2年生ドリブラー三浦が、勝利を決定づける2点目を奪った。「きょうは落ち着いてできた。それがああいうプレーにつながった」と左ウイングからの仕掛けで相手の脅威となった。
 ベンチでスタートした背番号17の出番は、前半35分にやってきた。昌平のキープレーヤーでU―17(17歳以下)日本代表の山口と交代。「まさか前半の途中だとは思っていなかった」と本人も驚く起用となったが、ピッチに立つと緊張感は消えていた。
 後半32分に左サイドからカットインすると、右足を振り抜きゴール。華麗な追加点に「前向きで受けられて仕掛けられる状態だった。得意の形というより、理想の形だった」と自画自賛の一発を振り返った。
 身長165㌢と小柄なだけに、良い状態でボールを受けることを心がける。元日本代表の玉田コーチは「ボールの持ち方がいい。自分と似ているところがあると思う」と期待をかける。点の取り方に悩んだ時期もあったというが、大舞台での経験から大きな成長曲線を描くかもしれない。

 

攻守に精彩欠く

前半2分、浦和南の橋本(右)が守備で体を張る

 

 5年ぶりの優勝を目指した浦和南は守りのチームスタイルを貫いたが、あと一歩及ばなかった。野崎監督は「頑張った選手を褒めてあげたい。技術の差が歴然で、相手に隙がなかった」と力の差を受け入れた。
 前半28分に先制点を許すも、選手たちに動揺はなかった。主将の橋本は「1点を許容するプラン。やれている意識があった」と両サイドのマークを徹底し、強力な相手攻撃陣を抑え込んだ。前半はショートカウンターで相手ゴールに迫るなど、守りからリズムが生まれていた。
 後半に勝負を懸けたかったが、相手の突破技術に苦戦した。中盤の競り合いで後手に回るとドリブルでエリア内に運ばれた。後半32分に2点目を奪われ、橋本は「残り10分で勝負を意識してスペースを生んでしまった」と隙が生じた守備を悔やんだ。
 前後半で放ったシュートは計2本にとどまった。得意とするセットプレーは相手GKの正面に飛ぶなど精度を欠いた。攻守でチームを支えた牛田は「前を向いても相手の強くて速いプレスに苦しんだ」と攻め手を欠いた。
 6月の県高校総体に続きまたしても準優勝。全国の舞台には届かなかったが、橋本は「複雑なプレーはせず、やれることを徹底した。3年間の集大成を出せた」と涙を浮かべながらうなずいた。

 

エース伊田
技術の差痛感

 攻撃の起点としてボールに絡み続けた浦和南ののエース伊田は、相手の堅守を前にシュートを1本も放てなかった。「技術の差があって守るのが精いっぱいで、前線にボールが入らなかった」と地力の差を痛感した。
 後半19分のFKは精彩を欠き、ボールは相手GKの正面へ。球際で相手に競り負け得意のドリブルも影を潜めた。「スピード感と読み、切り替えの早さの差で相手に先手を取られて自分たちのサッカーができなかった」と後手に回った試合に唇をかんだ。

 

 

大会優秀選手 昌平から8人選出

 県高体連サッカー専門部は14日、全国高校選手権埼玉大会の優秀選手18人を発表し、2年連続の全国大会出場を決めた昌平から最多の8人、準優勝の浦和南から6人が選ばれた。

 

=埼玉新聞2023年11月15日付け7面掲載=

 

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