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シイタケハウスでダンス公演 小鹿野高校出身の村岡さん

小鹿野で高校生活 パフォーマー村岡友憲さん

 

 小鹿野町河原沢のシイタケ栽培ハウスが、アート空間を生みすステージに変わった―。19日、一人ダンス公演「小鹿野ワークインプログレス『山に、生きる。』」が同ハウスで開催された。町にゆかりのあるダンスパフォーマー村岡友憲(TOMONORI・MURAOKA)さん(34)が「小鹿野の魅力を、アートを通して伝えたい」と、祖父が残した栽培ハウスをリノベーションし、この日だけのステージを作り上げた。自然に囲まれた空間で華麗なアクロバットダンスを披露し、訪れた観客を魅了した。

シイタケ栽培ハウスのステージでアクロバットダンスを披露する村岡友憲さん=19日午後、小鹿野町河原沢

 

「祖父や町に恩返し」

 

  村岡さんは、県立小鹿野高校に通った3年間、同町の祖父の家で過ごした。高校卒業後にアクロバット、殺陣、中国武術などの身体表現パフォーマンスを都内で学び、現在まで国内外の数多くの公演に出演している。
 昨年6月に世界最高峰のサーカス「シルク・ドゥ・ソレイユ」への入団が決定していたが、コロナ禍で全公演が中止になった。10年間目指し続けていた夢が一瞬で絶たれた村岡さんは、気持ちを切り替えるため、高校時代を過ごした小鹿野町に帰省した。

 78歳で他界した祖父が長年使用していたハウスは、後継ぎがいないため、屋根は朽ち、草木が生い茂ったままだった。村岡さんは「シイタケ栽培を復活させるのではなく、この空間で自分にしかできないパフォーマンスで、祖父や町に恩を返したい」と、8月から会場作りに取り掛かった。

 高校時代、村岡さんは祖父に農業の技術や遊び方など多くのことを教わった。「祖父をはじめ、同級生や近所の人たちのおかげで充実した高校生活が送れた。両神山に登り、カモシカと遭遇した時は感動した」と、当時を振り返る。

 幅12㍍、奥行き24㍍、高さ3・5㍍の栽培ハウスを、建物の面影と自然の豊かさを残したまま、自らの手で改修。賛同者にインターネットで協力金を募る「クラウドファンディング」で公演やプロモーション撮影の資金を募り、20人限定(小鹿野町民は無料)の公演が実現した。

 日差しが入り込むステージで、アクロバット、ジャグリング、棒術など、数々の技を繰り出す村岡さんに、観客たちはくぎ付けになった。地元の山中信子さん(70)は「見慣れた環境で、こんなに素晴らしいステージが見れるとは思わなかった。にぎやかな場所で観賞するのとは違う感動を味わった」と満足していた。

 公演を終えた村岡さんは「近所の人たちも見に来てくれて、楽しく演技ができた。今後は小鹿野高の生徒たちとコラボレーションしてみたい。このステージは、町の子どもたちの発表会などで使ってほしい」と話していた。

 

=埼玉新聞2021年9月27日付け11面掲載=

 

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