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9月30日は「いのちの日」学校のAED確認

 さいたま市立日進小学校6年の桐田明日香さん=当時(11)=が駅伝の練習中に死亡した事故を教訓とした救命マニュアル「ASUKAモデル」の策定から10年の9月30日、フォーラムが同市南区で開かれた。主催した市教育委員会は本年度から、象徴となる9月30日を「明日(あす)も進む いのちの日」として、学校現場で自動体外式除細動器(AED)の設置場所などを確認することを定めた。

 

ASUKAモデルのフォーラムで講演する桐田明日香さんの母寿子さん=9月30日午後、さいたま市南区の市文化センター

 

 明日香さんは2011年9月29日、駅伝の課外練習中に倒れた。教諭らは保健室に運んだが、救急隊の到着までの間、校内に設置されていたAEDを使用するなどの救命措置を行わず、明日香さんは翌30日に死亡した。明日香さんが苦しそうな呼吸などSOSを出していても、救命の行動につながらなかったという。市教委は当時の対応を教訓として検証し、翌12年9月30日、AEDの使用を示したASUKAモデルを策定した。
 市立学校では教職員への研修を充実させたほか、小学5、6、中学1年が救命講習を受講。今後は「明日も進む いのちの日」の取り組みとして、小学1~4年を含め、学校内のAEDの設置場所を確認したり、一斉点検を実施することに決めた。本年度は10月3日~14日、来年度以降は9月30日前後に実施する。細田真由美教育長はフォーラムの冒頭、「ASUKAモデルは全国で活用が広がっている。今後も学校の安全管理体制を整えていく」と述べた。
 フォーラムでは、市立学校の児童生徒が学校での取り組みを発表。明日香さんの弟で大宮北高校1年の真さんは今年9月、心肺蘇生法の普及を進める団体「さいたまPUSH」の認定インストラクターの資格を取得したと報告。「多くの人にAEDの正しい知識やASUKAモデルのことを知ってもらいたい。もう誰にも悲しい思いをさせたくない」と訴えた。
 明日香さんの母寿子さんは、実例を挙げて、市内の子どもたちが救命教育を受けていることを実感したと説明。フォーラムの最後に、「9月30日は明日香の命日でもありますが、ASUKAモデルの生まれた日でもあります。AEDを知り、設置場所を確かめ、誰かに伝えるだけで人の命を救える。その人だけでなく、大切に思う家族も救うことができる。みんなを守れる学校、社会にしたい。これからも明日香と一緒に、ASUKAモデルの普及活動を続けていきたい」と話した。

 

=埼玉新聞2022年10月3日付け10面掲載=

 

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