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全国高校野球 聖望学園2回戦敗退

大阪桐蔭の壁厚く

 第104回全国高校野球選手権大会第9日は14日、兵庫県西宮市の甲子園球場で2回戦計3試合が行われ、埼玉代表の聖望学園は選抜大会優勝の大阪桐蔭に0―19で大敗した。

大阪桐蔭に敗れ、応援席へあいさつに向かう聖望学園ナイン

 

 聖望学園は、先発のエース岡部が一回から大阪桐蔭の強力打線につかまると四回までに9失点。五回以降は、東山、北原で継投を図るものの実らず、七回を除く毎回得点を許し、計25安打で19失点を喫した。
 打線は、先発の左腕前田に5回1安打の9奪三振で封じられると、2番手以降にも1安打に抑えられ、一度も二塁を踏むことができなかった。

 

力の差痛感も聖地に感謝

 埼玉大会をノーシードから勝ち上がった聖望学園の勢いは、むなしく浜風とともに吹き去ってしまった。
 横綱・大阪桐蔭に被安打25、19失点。夏の甲子園大会で、埼玉県勢のワースト失点は、1986年の浦和学院が松山商(愛媛)戦で記録した14だったが、これを上回ることになった。岡本監督は「力の差を痛感した。スイングスピードなど全てにおいてレベルが違った」と相手の強力打線を認めるしかなかった。
 大量失点を喫した投手陣を援護しようと、打線は反撃を試みるものの、先発前田の常時140㌔前半の直球に110㌔台のチェンジアップを駆使した球速差約30㌔の緩急を前に打開策を見いだせなかった。
 8番岡部は「真っすぐの軌道で大きく落ちてくるから(バットに)当たらない」。5回を1安打9三振に抑えられると、2番手以降も攻略できず、九回に一本を放つのが精いっぱい。二塁ベースを一度も踏むことができなかった。
 終始投打で圧倒されたが、指揮官は「大阪桐蔭と試合できたことに誇りを思ってほしい」と語り、主将の江口は「日本のトップクラスのチームとやれたことに感謝したい」と貴重な経験を手にした。13年ぶりに甲子園の土を踏み、19年ぶりに初戦突破と埼玉で一番長い夏を味わった。岡部は「チームで一丸になれたいい夏だった」と言い残し、聖地を後にした。

 

充実と悔しさの先発

エース・岡部

大阪桐蔭戦に先発した聖望学園・岡部

 

 これまで好投を続けてきたエース岡部だったが、5回を投げて被安打14、11失点と大阪桐蔭打線にのみ込まれた。「コーナーと緩急を使って抑えようとしたけど、ボールがばらついてしまった」と反省した。
 一回から相手の攻撃につかまる。「打球の速さが違った。ミスショットが少なくて甘く入ったら捉えられる」と四回まで毎回得点を許して9失点で降板。五回から左翼手に回ったが、指揮官は「これまで岡部が頑張ってきたから最後は岡部しかない」と、九回にこの試合2度目のマウンドに送った。「最後は自分が抑えて流れをもってこようと思った」という思いは実らずに2ランを浴びた。
 大敗したものの、ここまで進むことができたのは、岡部の力投があったからだ。埼玉大会決勝で選抜4強の浦和学院を完封。甲子園初戦の能代松陽(秋田)戦では2失点完投とチームをけん引してきた。
 岡部は「甲子園を目指していたから立ててよかったけど悔しい」と振り返り、「きょう打たれたことをもう一度振り返って何が必要なのか考えたい」と次の舞台でも野球を続けるつもりだ。

 

劣勢でもチーム支える

主将・江口

 どんなに点差が広がっても主将の江口は、最後までチームを支え続けた。「こういう結果になってしまって申し訳ないけど、一番近くで支えてくれた両親やチームメートにありがとうと言いたい」と語った。
 2年生まで一塁手だったが、今春から捕手にコンバートされて投手陣を引っ張ってきた。「技術よりも気持ちの面を大事にしてきた」と高いリーダーシップを最後まで貫き通した。「日本のトップクラスとやって野球は楽しいと思った」と価値のある夏を体験した。

 

最後に結果で示す

上石

 今大会注目の左腕前田から四回に内野安打を放った3番上石は「いい当たりではないが、運が傾いてくれた」と振り返った。
 浦和シニア出身。当時のチームメートは、浦和学院、花咲徳栄、山村学園などで先に結果を出していただけに悔しさがあったという。だが、3年生最後に甲子園出場の切符を獲得。初戦では2安打し、この日も1安打と聖地で躍動した。
 「コロナ禍の状況で甲子園まで全員でプレーできた。2年半ありがとうと言いたい」と感謝の思いを話した。

 

最高の舞台楽しむ

東山

 五回から登板した2番手の東山は、3安打5失点で六回途中で降板した。「力が一つ、二つ上と知っていたが、打撃と守備で格の違いを見せられた」と脱帽した。
 1回戦突破後、エース岡部から「甲子園のマウンドは最高の場所だよ」と聞いた東山はこの日、4万人の観衆の視線が集まる中で登板。「最初は緊張したけど、楽しくて(捕手)江口のミットをめがけて投げた」と腕を振った。「万全の状態ではなかったけど、ここで投げさせてもらったことに感謝したい」と話した。

=埼玉新聞2022年8月15日付け1&7面掲載=

 

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