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松山高校新聞部 廃部危機一転52人

ゼロから再出発
1年半で知事賞の栄誉

 本年度の県学校新聞コンクールで、東松山市の県立松山高校新聞部が最優秀賞(知事賞)を受賞。昨年、部員ゼロの廃部の危機から再出発し、わずか1年半で県トップの栄誉に輝いた。52人となった部員たちは「今後も自分たちの興味を大切にし、生徒主体の新聞づくりを進めて行きたい」と張り切っている。

4年ぶりに通常開催の「日本スリーデーマーチ」について、東松山市の担当職員(左)に取材する松山高校の新聞部員=11月11日、東松山市役所

 

 同校新聞部は2019年7月、当時の3年生が引退して以降、部員がいなくなり、廃部の危機を迎えていた。昨年3月、顧問に〝指名〟されたのは、新任国語教師の矢野悠季教諭だった。「伝統校の歴史を記録してきた新聞部を何とか復活させたい」。経験はなかったが引き受けた。
 同年4月、コロナ禍で新入生の部活勧誘のプレゼンは動画で実施された。部員不在のため矢野教諭自らが「新聞部は生まれ変わる」とアピール。熱弁に応え、22人の1年生が入部した。再出発に際して部員を「取材」「写真」「ライター」「IT(編集)」の分業制に。「それぞれ得意な、好きなことで新聞づくりにかかわってもらおう」と考えた。
 1年生だけで2年ぶりに復刊させた紙面(5月12日付)のトップ見出しは「新聞部再出発 新たに22名入部」だった。最初は校内の取材が大半。9月ごろからリモートで外部取材も始めた。11月の県学校新聞コンクールで、いきなり優秀賞に輝いた。だれもが驚いた。同時に「やれる」との思いも芽生えた。1年目は本紙8回、号外・速報紙14回発行。部員も28人に増えた。

 今年4月、22人の新入生が入部。現在の部員は52人。「視野の狭い人間になってほしくない」(矢野教諭)との方針で兼部も歓迎。生徒会本部や運動・文化部の部活を掛け持ちしている部員が16人いる。
 今夏から「生徒主体」の体制へ移行。9月3、4日には「松高祭」の速報紙を、2日連続で当日発行する〝離れ業〟も。秋には組織も見直し、部長や四つの班長も交代。新たに「自分たちの興味を大切にする新聞部へ」の方針を打ち出した。速報紙の題字も応援歌のタイトル「空は晴れたり」に変更。11月、県学校新聞コンクールで、最優秀賞の快挙に沸いた。

県学校新聞コンクールで最優秀の知事賞に輝いた松山高校新聞部(同校提供)

 

 島本悠太・IT班長(2年)は、最初は手探りで思うような紙面ができなかったが、回数を重ね技術の上達を実感。「編集の発行ギリギリだとミスも多くなるので他班との連携を密に余裕を持って作業を進めたい」。古屋弥巳・取材班長(同)は「取材前の下調べに時間がかかるが、取材は楽しい。皆に平等に経験してもらい新聞の質を高めたい」と語った。
 伊佐歩紀・ライター班長(同)は字数の多い記事を担当することが多い。「最初は新聞のルールを知らずに苦労したが慣れてきた。班をまとめるだけではなく部全体も見て行きたい」。小川友輝・写真班長(同)はITも兼務、データ消去の失敗も経験した。「外部取材は写真の撮り直しが難しいのでしっかり撮りたい。自分の写真が紙面に載るとうれしい。みんなで競って、良い写真を撮りたい」と意気込んだ。
 丸山陽叶部長(同)は写真とライターを兼務。「先生に頼る面が多かったが、生徒主体の新聞づくりを進めたい。経験を後輩に引き継ぎたい」。矢野教諭は「もっとやりたいことを見つけ、挑戦してほしい」と期待を込めた。

 

「松山高校新聞」4月11日付から

 

=埼玉新聞2022年12月24日付け15面掲載=

 

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