仙台育英(宮城)に0-1
第108回全国高校野球選手権大会第8日は12日、甲子園球場で2回戦3試合が行われ、2年ぶり9度目出場の花咲徳栄は仙台育英(宮城)に0―1で敗れ、初戦敗退となった。
花咲徳栄は六回、失策で先頭打者の出塁を許すと、後続に2連打を浴びて1点を先制された。直後の七回に市村の中前打などで1死二塁、九回には笹崎の中前打と暴投で無死二塁の一打同点のチャンスまではつくったが、あと一本が出ず同点には及ばなかった。完投した黒川は8奪三振1失点の好投も、打線の援護がなかった。
2018年以来8年ぶりの夏の勝利、そして17年以来2度目の日本一を目指して臨んだ今大会。最も遅い49校目の登場で調整が難しく、持ち前の切れ目ない打線と堅守は影を潜めた。本田主将は「全てを出し切ることができなかった。もっと上でやりたかった」と悔やんだ。
歯車狂わせた調整難
調整の難しさが歯車を狂わせた。埼玉大会決勝から17日ぶりの公式戦となった花咲徳栄は、らしさを出せずに初戦敗退。岩井監督は「これがしんがりの難しさなのかな。また勉強になった」と肩を落とした。直近6大会連続で勝利がない最終登場枠のジンクスに屈した。
相手の先発右腕の前に自慢の切れ目のない打線が影を潜め、四回までノーヒットに抑え込まれた。五回に先頭打者の市村が左中間に二塁打を放ったが、大きいリードから帰塁できずに刺されて好機を失った。1死後に安打が飛び出すなどちぐはぐな攻撃だった。
対戦相手が仙台育英に決まった5日以降はマシンで右投手のスライダーを設定し、低く鋭い打球を放つ練習を重ねてきた。しかし直球より40㌔ほど遅いカーブにタイミングを外され、フライを打たされた。連打も生まれず三塁を踏むことができなかった。
それでも九回には一打同点の好機を演出。先頭打者の笹崎が中前打と暴投で無死二塁をつくり、球場はこの試合で一番の盛り上がりを見せた。三塁に走者を進めてプレッシャーをかけたいところだったが、投ゴロに三振が二つ。1死二塁で三振に倒れた奥野は「県大会の決勝からピッチャーをずっと見ていないのが難しかった」と率直な気持ちを吐露した。
激戦区の埼玉を勝ち抜いた先に待っていた早すぎる敗戦。選手たちから出たのは涙ではなく前向きな言葉だった。本田主将は「こういう舞台で試合ができるのはセンバツと同じくいい経験」。2季連続で甲子園の舞台に立てたことこそが最高の財産になる。
完投の黒川
心身共に〝エース〟の器
エース黒川が甲子園のマウンドで最高の投球を見せた。「三振を取りに行くというよりは、タイミングを崩す」という投球で結果的には8奪三振、1失点で投げ抜いた。8安打を浴びながらも要所を締め、六回の無死一、二塁は追加点を許さなかった。
もともとは自分の力のみで打者を抑えようとするタイプだったが、徐々に考え方が変化。「ピンチでも笑顔でいることは春から意識している」と守備に好影響を与えるすべを身に付け、心身共にエースの器に成長した。
悔しさ晴らす打撃力を発揮
6番 左翼手 市村
6番市村はチーム唯一の2安打を放ち、持ち味の打撃力を発揮した。打線は四回まで無安打と沈黙していたが、「焦らずに後半に持ち込めば自分たちの野球ができる」と落ち着いて五回の打席に立つと、チーム初安打となる二塁打を放った。
埼玉大会の打率は1割台と低迷。決勝では5打席凡退だった。「チャンスで一本も出ず、仲間に助けられた」と悔しさを味わった。そこから内角、外角の打ち分けの練習を積んで来た。2安打を放ち、県大会の屈辱を甲子園で晴らしてみせた。
好捕でチーム鼓舞
1番 遊撃手 岩井
起爆剤の岩井が攻守で躍動した。0―0で迎えた四回、相手の先頭打者の中前に落ちるかと思われた飛球を、遊撃から背走して滑り込みながら好捕。「黒川がいいピッチングしてくれていたので、なんとか捕ってやろう」。必死のプレーでエースを鼓舞した。
六回には先頭打者で左前打を放ち、前打席の四球に続いて2度目の出塁。「塁に出れば何かが変わる。2度出塁できたのは良かった」。1年間こだわってきた出塁を大舞台でもやり遂げ、納得の表情だった。
「親子で日本一」夢に幕
第108回全国高校野球選手権大会第8日は12日、甲子園球場で行われ、埼玉県代表の花咲徳栄は仙台育英(宮城)に0―1で敗れた。2017年以来9年ぶり2度目の夏の全国制覇への挑戦が終わると同時に、岩井隆監督(56)と岩井虹太郎選手(17)による親子で日本一の夢も幕を閉じた。

練習中の岩井隆監督(左)と岩井虹太郎選手=10日、兵庫県西宮市の津門野球場
虹太郎選手は2学年上の兄、福(ゆたか)さんを追って花咲徳栄に入学した。1年生秋から正遊撃手として守備を支え、打席では積極的にスイングをかけるスタイルで打線をけん引。昨年秋からは副主将に任命され実力、精神ともにチームの中心的な存在となった。
岩井監督は虹太郎選手のプレーヤーとしての良さを引き出すため、適切な距離感を意識して指導してきた。「(虹太郎は)自分で悩んで、自分で頑張る。こっちからガミガミ言うのがいいタイプじゃない」。親子だから厳しくしたり甘くしたりするのではなく、他の選手と同じように性格を見極めた上で成長を促した。
岩井親子の最初の甲子園挑戦は24年夏。当時3年生の福さんは三塁コーチャー、1年生だった虹太郎選手はスタンドにいた。チームは新潟産大付に敗れ初戦敗退。親子での甲子園出場は果たすも1勝には届かなかった。
次に出場した今春のセンバツでは23年ぶりとなる8強に進出。2回戦の日本文理戦では虹太郎選手が4安打を放つなど勝利の立役者となった。岩井監督も「(親子で)2回出て1勝もできないんじゃ格好つかない。岩井家としても良かった」と父としての喜びも見せた。
そして迎えた3度目の甲子園。虹太郎選手も「兄が出たというのもあり、夏は特別」と気合が入っていた。四回には遊撃手後方の飛球を後ろ向きのまま滑り込んで好捕。六回には先頭打者で安打を放つなど好守で役目を果たしたが、チームは無得点で敗戦。夏の1勝はかなわなかった。
11日の夜には福さんから虹太郎選手に「普段通りやれば大丈夫」というメッセージが送られた。埼玉大会は腰のけがで出場機会を減らしたが、甲子園の舞台では「普段通り」のプレーを披露。岩井監督も「まだまだだが、最後にいい状態でプレーできたのは良かった」と優しい表情で次男を評価した。
=埼玉新聞2026年8月13日付け1、7、13面掲載=
サイト内の花咲徳栄高校の基本情報は→こちら
学校の特徴~学校からのメッセージ2026~
本校ではICT教育を深化させ、協働学習をすべての教科で取り入れています。CBTの実施により、理解の定着度をリアルタイムで測定し、個々の最適な学習環境を整備しています。適切な学習支援と学校生活全般の課題解決につながる一貫した指導を展開しています。
カテゴリー
よく読まれている記事