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【高校野球】本日開幕 147チーム熱戦

 第104回全国高校野球選手権埼玉大会は8日、県営大宮球場で連合5チームを含めた147チーム(159校)が参加して開幕する。
 優勝争いは、選抜大会4強で史上初の県内5季連続優勝が懸かるAシード浦和学院が大本命。春季関東大会4強のAシード山村学園、同県大会4強のBシード上尾に、2019年王者のCシード花咲徳栄が後を追う展開になりそうだ。
 1チームだけが手にすることができる甲子園切符を懸けた熱戦の行方を、四つのゾーンに分けて探った。

 

浦和学院ー浦和実業ゾーン

王者が圧倒的強さ

力強いバッティングで強力打線をけん引する浦和学院の4番鍋倉

 

 県内公式戦25連勝中のAシード浦和学院が断トツに強い。Cシード浦和実業やノーシード立教新座など各チームがどこまで食い下がることができるか。
 浦和学院は、しっかりバットを振り抜く超攻撃野球に、春季県大会で磨いた小技と攻撃に隙がない。伊丹、金田、鍋倉、高山の2~5番は、逆方向に鋭い打球を放つ長打力がある。投げては、エース宮城が切れに加えて、最速143㌔と球速が増し攻略するのは至難の業。今春は16回を投げて防御率0・00の芳野、クレバーな投球が光る浅田に野手と兼任する金田、伊丹ら7人の投手陣で夏を戦う。5回戦はエース豊間から町田への継投を勝利の方程式とするDシード早大本庄との対戦が予想される。
 浦和実業は、右下投げの上田、制球力に優れる清田の両2年生右腕に、右横手のエース佐々木と投手陣が豊富。得点力不足だった今春の反省を生かし、打順を入れ替え、機動力と粘り強さに磨きをかけた攻撃が鍵を握る。
 浦和実業と4回戦での対戦が予想される立教新座は、浅見、金子、木村のクリーンアップを中心に打線が強力。火が付いたら簡単には止められない。
 虎視眈々(たんたん)と準決勝進出を狙うのが、星野と町田の強打者が並ぶ山村国際と、最速140㌔の加藤を擁する狭山ヶ丘白岡大宮北県立川越鷲宮の公立勢対決は好試合になりそうだ。

 

西武台―山村学園ゾーン

山村筆頭 2校追う

経験豊富な投手陣をリードする山村学園の捕手山田浩

 

 関東大会4強のAシード山村学園を筆頭に、投打に力があるCシード西武台、Dシード東農大三が後を追う。
 先制して逃げ切ることを必勝パターンとする山村学園は、坪井、酒井の3、4番コンビを軸に打線に勢いがある。前を打つ井上、河村が出塁して得点圏で2人を迎えれば、大量得点を築くことができる。短いイニングを複数人で継投する「マシンガン継投」を図る投手陣は山田翼、佐藤実、田中、西川とそれぞれタイプが異なり、短いイニングでの攻略は難しい。
 総合力が高い西武台は、最速145㌔の直球に制球力がある渡辺新とツーシームで打たせて取る投球が魅力の福本の両右腕が盤石。打線は、広角に長打を放てる3番金田に4番青山、5番一郷とつなぐ意識が徹底されている。
 東農大三は、春季県大会5試合で47得点を挙げた強力打線が健在。加藤、藤野、橋本のクリーンアップで大量得点を奪いたい。初戦でエース倉林と捕手花輪のバッテリーを軸に堅守を誇る埼玉栄と対戦。2回戦屈指の好カードだ。
 躍進が予想されるのは、2年生エースの野中を中心に守り勝つ野球を掲げる叡明と、荒木新監督の下、堅守が磨かれた川越工。エース山崎の粘り強い投球から攻撃にリズムをつくるDシード市浦和は、打線の出来が勝負の鍵を握る。

 

花咲徳栄―市川越ゾーン

徳栄 頭一つ抜ける

持ち味の制球力で勝負する市川越のエース関

 

 2019年王者のCシード花咲徳栄が総合力で頭一つ抜けている。だが、Bシード市川越や、川越東星野のDシード勢に実力校がそろうだけに波乱が起こる可能性は十分にある。
 投手の出来が鍵を握る花咲徳栄は、エース金子が最速145㌔の直球と決め球のスライダーに安定感が増した。エースの体力を考慮すると、鈴木、飯島、熊倉ら投手陣の奮起が必要不可欠になる。打線は例年より劣るものの、藤田、柴田、前田のクリーンアップを軸にビッグイニングを築くことができる。春季県大会で春日部共栄を破った武蔵越生との初戦は見ものだ。
 市川越は、室井新監督の下、攻守にバランスがとれている。技巧派のエース関に本格派の藤井の二枚看板と捕手田島のバッテリーを中心に守りが堅い。打っては畠山、南らが積極的な攻撃で小刻みに得点を重ねる。
 川越東は、エース伊藤が完全復帰し、投手層に厚みが増した。星野は、原田と村田ら大技と小技を駆使し
て先行逃げ切りの展開を理想とする。
 台風の目になりそうなのが浦和麗明。最速143㌔のエース吉川を軸に守備は安定している。打線の調子が上がれば、大物食いもあり得る。制球力が武器の北本のエース小櫃に、最速142㌔と球威がある秩父農工科のエース岸岡と好投手の活躍にも注目だ。

 

上尾―狭山清陵ゾーン

各校互角の激戦区

緩急を巧みに駆使して凡打の山を築く上尾の倉持

 

 Bシード上尾、昨夏準優勝の昌平、同4強の春日部共栄に、聖望学園大宮東武南がひしめく今大会一番の激戦区。公立の雄・上尾が有力だが、どこが4強に上がってもおかしくない。
 上尾は、エース川口と倉持の共に打たせて取る投球が光る2人が堅守を支える。攻撃は1番石川が出塁して、好機の場面で3番金丸、4番駿河の勝負強さで得点を重ねるのが理想の展開だ。
 春日部共栄は、今春の課題だった投手力が成長し、広瀬凜、橋本ら継投策で踏ん張れる力が付いた。初戦を突破すると2回戦で昌平が待ち受ける。その昌平は、春季県大会を辞退したため公式戦経験が少ないものの、エース川島、川久保ら投手層が厚く、捕手斎藤らバックも安定している。
 聖望学園は東山、渋谷、大橋を柱にエンドランや足を絡めた攻撃で相手の隙を突く。順当に勝ち上がれば4回戦でぶつかる大宮東は、制球にたけた清水と直球に力がある高橋亮の左腕2人が最大の売りだ。
 武南は最速145㌔のエース石橋が頼もしいだけに、打線がどれだけ早く援護できるかが勝負の鍵を握る。
 公立勢も黙っていない。狭山清陵は佐藤、小高らの継投策で最少失点に抑える。昨夏4強の県立川口は、多彩な変化球で打者を翻弄(ほんろう)するエース安田が大黒柱だ。

 

=埼玉新聞2022年7月7日付け7面掲載=

 

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